第3話

次の日の昼休み、も教室は賑やかな笑い声でいっぱいだった。友達同士で笑い合い、楽しそうに食事を取る姿が見られる中、日向一葉とその友人たちもグループを作り、楽しげな会話を交わしていた。


「このサンドイッチ、最高だね!」と高瀬美紅菜が嬉しそうに言った。彼女はお気に入りのランチボックスを開けて、自分の料理を見せていた。


山鹿亜伊はその様子に感心し、「美紅菜、料理の腕前が上がったね。次は私に教えてよ。」と笑顔で応じた。


そのとき、石井壱与香が静かに自分の弁当を食べながら、ちらりと中村陽路に目を向けた。陽路は別のテーブルに一人で座っており、食事をとりながらもどこか浮かない顔をしていた。


日向一葉はその様子に気づき、心配そうに「陽路ちゃん、どうしたの?一緒に食べようよ。」と誘った。


中村陽路は少し驚いた様子で振り返り、「あ、ありがとう。でも、大丈夫。自分のペースで食べたいから。」と微笑んで答えた。だが、その笑顔にはどこか無理をしているような気配があった。


「ほんとに大丈夫?何か手伝えることがあれば、言ってね。」と日向一葉はさらに優しく言った。


その時、河合瑠璃が陽路のテーブルに近づき、明るく「陽路ちゃん、今度一緒に遊びに行こうよ!みんなで楽しいことをしよう!」と提案した。陽路はその提案に少し戸惑いながらも、「うーん、ありがとう。でも、ちょっと考えさせて。」と答えた。


昼休みの時間が進む中で、友達たちの楽しい会話が続く一方で、中村陽路は心の中で不安を感じていた。日向一葉や他の友人たちの気配りがあっても、その孤独感は簡単には消えそうになかった。


昼休みが終わると、みんなはまた教室に戻り、次の授業へと向かっていった。陽路も自分のペースで教室に向かいながら、少しだけ自分の不安と向き合えたような気がした。





放課後の学校の廊下は、静かな雰囲気に包まれていた。日向一葉、山鹿亜伊、土肥夏、高瀬美紅菜、石井壱与香の5人は、クラブ活動を終えた後、帰り支度をしながら談笑していた。


「今日はクラブ活動もなかなか大変だったね。」一葉が軽く息をつきながら言った。彼女の肩にはクラブのバッグがかけられていた。「でも、楽しかったよ。」


「そうだね、特に最後の練習は盛り上がったし!」亜伊が笑顔で答える。「私、チームのみんなと協力するの楽しい。」


「うん、今日は本当にいい経験になったね。」夏が同意しながら言った。「みんなの努力が形になってきてるって実感できるから、すごく充実感がある。」


美紅菜は、少し疲れた様子で「でも、次の試合も控えてるから、まだまだ気を引き締めないとね。」と付け加えた。


「その通りだね。」壱与香が頷きながら、「でも、今日は頑張ったご褒美に、みんなでちょっとお茶しに行こうよ。」と提案した。


「いいね!どこに行く?」一葉が興味津々で尋ねると、亜伊が嬉しそうに答えた。「近くのファミレスに行こうよ。新しいメニューが入ったって聞いたし。」


5人は、楽しそうに会話しながらファミレスに向かう道を歩いた。途中、夏が「実は、今日のクラブ活動で新しいアイデアを思いついたんだ。」と話を始めた。


「へえ、どんなアイデア?」一葉が興味を持って聞くと、夏は「文化祭でクラブの展示をするっていうのはどうかな?みんなで協力して、楽しい企画にしたいんだ。」と提案した。


「それ、いいね!みんなで一緒に何か作り上げるのは楽しそうだし。」美紅菜が目を輝かせながら言った。「どんな企画がいいかな?」


「うーん、例えば、クラブの活動を体験できるブースとか、メンバーとの対決コーナーなんかどう?」亜伊がアイデアを出し合った。

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