優しくて小さな世界

耳がとってもいいけど、それがコンプレックスな主人公の聡耳ちゃん。
彼女が声優の部活みたいな「声劇部」と部員たちに出会って……という物語です。

着目していただきたいのは、彼女が小学五年生である、ということ。

小学生から見る中学生たちの頼もしさ。
小学生だからこそ、力及ばないこと。
スマホもSNSもない日常。
ここはすでに、大人たちから見れば異世界です。
近い年代の子たちが見ても、ゲームなども出ずひたすらアナログなので、新鮮かもしれません。
読めばきっと、すぐにその世界に引き込まれると思います。

さらに、劇という別の世界が待っています。
お題は有名なグリム童話ですが、役柄や彼らの心境を表現する演技が、時折その世界観を持ち込んできます。
物語が進んでいくに従い、それらが素敵なスパイスを与えてくれます。


作品の何よりもの魅力は、六人のとっても良い子の登場人物たち。
それぞれの特徴も目を見張りますが、何よりも「こんな良い子いないでしょwww」ってなりません。自然な善性で嫌みがなく、魅力的で好ましい。
7万字でまとめられていますが、彼らのやりとりだけでもずっと見ていられるでしょう。

半月ほど更新のたびに読ませていただきましたが、毎日楽しみでした。
このままずっと続いていくことを、期待してしまう作品です。
今からでも遅くはありません。
是非に、お読みくださいませ。