第6話 静かに!(お題:すべて顔文字で表現する)
文芸部室の黒板にデカデカと書かれた《私語禁止》の文字。
田畑が入部して以来、文芸部のくせにうるさいと苦情が入ったのだと前日
( ´•ω•` )
田畑は言葉にならない悲しみを全身で表した。
今日も鑪はカタカタと無表情に( ⩌⤚⩌)っ_/ていて、田畑の( ´•ω•` )な顔などに気付きもしない。
田畑は悔しくなって、わざと鑪のすぐ側に立ち、彼女の視界を塞ぐようにして身体を傾け、( ´•ω•` )な顔を見せつけた。
(-言-)……!!
鑪はキーボードを打つ手を止め、(▭-▭)とした顔で田畑を威嚇した。
そんな顔も可愛くて、田畑はうっかり(*´ч`*)した。それがまた、鑪の(-_-メ)を買った。
(し ず か に ……!!)
口を動かし牽制してくる鑪の勢いに押され、田畑は૮ o̴̶̷᷄ ·̫ o̴̶̷̥᷅ აとなって向かいの席にしぶしぶ座る。
言うまでもなく、ここは文芸部なのである。
まかり間違っても\( 'ω')/ウルセェェェェエエエェェェェエエエ!!!!などと苦情を言われてはならないはずなのである。
仕方ない。
このまま鑪に嫌がられ続けるのも良くはない。
田畑はリュックから筆記用具を取り出し、部室の棚から拝借した文芸部特製罫線入りメモ用紙を机に置いて、とりあえず部活をしようという意志を示すことにした。
……とは言っても、創作活動には一切興味がない。
第一、田畑は作文も感想文も苦手だった。日記すら書きたくなかった。
興味があるのは鑪のことばかり。
どうしてこの超絶クールビューティな鑪が、文芸部などという地味な部活動に精を出しているのか、そこが知りたかった。
頭は超絶良いらしい。国立大を狙えるところにいるのだと聞いた。それがどれほど凄いのか、正直田畑には分からないが、とにかく凄いらしいことは分かる。
(ↂ⃙⃙⃚_ↂ⃙⃙⃚)
結局田畑は筆記具も持たず、机の上に拳をふたつ作って鑪を(ↂ⃙⃙⃚_ↂ⃙⃙⃚)ていた。
\_へ( ・᷅-・᷄ )
:(;゛゜'ω゜'):
\_へ( ・᷅-・᷄ )
((φ(。_。;)φ))。_。;)φ))。_。;)
別に書くこともなかったが、鑪の(#^ω^)が:(´ºдº:;`):った。
とりあえず何か書いているフリをした。
手元のメモ用紙の上に量産された歪な《鑪》の字。書いているうちに、《金》と《上》と《ノ》と《七》、それから《田》と《皿》がバラバラ殺人事件を起こし始めた。
紙の半分を文字が埋め尽くす頃になると、そもそも何を書いていたのか田畑自身も分からなくなるほどだった。
シャーペンとキーボードの音が静かな部室に響いた。
少しだけ開けた窓から、グラウンドを走る陸上部の掛け声と、帰宅する生徒達の笑い声が聞こえてきた。
確かに普段は聞こえていそうで全く聞こえていない声である。つまりはそう、そのくらい普段田畑が声を張り上げている、という意味だ。
パタッと田畑のシャーペンが手から零れ落ち、机の上を転げた。
「無理っす、部長」
(ʘ言ʘ╬)
顔を上げた鑪は明らかに(`д´!!!)だった。
だがもう、田畑は⁝( ‘ᾥ’ )⁝の限界だった。
「こんなの、俺と部長のあるべき文芸部の姿じゃないっすよ。お話したいです。俺、何も面白くないっす」
田畑は机の上で_(:3」∠)_した。
その上、ヾ( ノシ。ɵ̷̥̥᷄ㅅɵ̷̥̥᷄)ノシし始めた。
「部長とお話したくて文芸部に入ったのに、何で静かにしなきゃなんないんすか!! お話したいお話したいお話したい〜〜〜〜。゜(゜´Д`゜)゜。」
\_へ(* ‐ ω ‐ )ハァ……
鑪はとうとう( -ࡇ-)…て、パタンとノートパソコンを閉じた。
「静かにしてと言ってもダメ、私語禁止にしてもダメ……。君はどうすれば静かになるのかな……:( ꐦ´꒳`;):」
どうやら鑪は静かにง'ω')ڡ≡)`Д゜);、;'.・”するタイプの人間らしい。
(;⊙ ͜ ⊙)
田畑はさすがにヾ(°ω。ヽ≡ノ°ω。)ノ゛となってスライディング =͟͟͞ _|\○_土下座した。
「え、あ、す、すみませんでしたァァァァァァァ㌆㌆㌆㌆。゜(゜´Д`゜)゜。㌆㌆㌆㌆!!!! 静かに、静かにしますから、退部だけは!! 退部だけはァァァァァァ!!!!」
「はいはいはいはい、うるさいうるさいうるさぁぁぁぁぁぁいぃぃ!!!! 静かにしなさい、静かに!! 興奮し過ぎよ、田畑君!!」
(;´Д`)ハァ……ハァ……
(´Д`;)ハァ……ハァ……
「もう……いいわ……静かにするのが無理だってことだけは理解したから……」
床に頭を( ┌ ε°。)┐田畑に┐(´~`;)┌て、鑪は大きく(๑ ̅᷄꒫ ̅᷅)(。´-д-)=3した。
「ところで田畑君、何か一生懸命書いてたみたいだけど……」
ガタッと立ち上がり、鑪は田畑の書いたメモ用紙に手を伸ばした。
!(◎_◎;)
「あ、それは……!!」
田畑が(; ・`д・´)として机に手を伸ばした時にはもう遅かった。
まるで呪い〜〜〜๛ก(ー̀ωー́ก)のように大量に書かれた《鑪》の字……そして、分裂した《金》と《上》と《ノ》と《七》、《田》と《皿》がぐちゃぐちゃになって紙の上で踊っている。
田畑はしまったとばかりに鑪を見た。
鑪は(〇-〇)ゞクイッとさせ、しばらく無言になった。
それから小さい声で、
「(〇-〇)キモッ」
と言うと、その日はそれ以上田畑と会話をしてはくれなかった。
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カクヨムのコメントで頂いたお題を元に書きました。
全て顔文字は不可能なので、随所に入れました。どうですかね、頑張ったんですけど。
※追記です!
パソコンだと文字化けするようなので、スマホで読み直して頂けると、顔芸のやり取りがよく分かると思います。
パソコン文字化け考えてなかった……
お題は随時募集します。
全て採用するとは限りませんが、良い感じのがあれば書きますね。
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以降、不定期更新となります。
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【お題で綴るラブコメ】轟木高校文芸部【お題募集中!】 天崎 剣 @amasaki_ken
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