復讐

第1話 はじまり

男は黙って聞いていた。

金融機関にはよくあることなのだろうか？

ある支店の融資担当者が職務怠慢により、解雇されるらしかった。

その融資担当者は、昔園真（むかしぞのしん）、元々融資担当者としての手腕は、信ずるべきではなかった。

でも、男はどうでもよかった。

手腕が悪かろうが、良かろうが、関係なかった。

自分にさえ、火の粉が被らなければ、それで、バンカーの一生を終えればよかった。

しかし、人生はそううまくいかない。

期中にも関わらず、男に人事が言い渡った。

「白鷹支店に移動してくれ。」

白鷹支店とは、昔園真がいた支店だ。

つまり、後始末をしろ！とのことである。

ところが、この後の、後始末が悪かった。

人事を言い渡した部長は、その男を目の前に、同席していた融資課長下山に、こういったのだ。

「表向きには、諭旨解雇だが、実質首。でも、退職金を出す！とのことだって。」

その男は、腹わたが煮えくり返った。

しかし、大企業の人事。

従う外、なかった。

しかし、この後、壮絶な復讐劇が始まるのである。