第19話 新しい朝
朝起きて、ご飯を食べて、学校へ行く準備をする。
ありふれた、いつもと変わらない日常。
だけど、今日のわたしはちょっと違う。
なんだか気分が良い。
「ヒカリ、忘れ物はない?」
玄関でお母さんがたずねる。
「うん、大丈夫だよ」
「今日は山崎先生と電話でお話するつもりだから。斎藤先生や高橋さんたちにいやなこと言われたら、すぐにお母さんに言いなさいね」
お母さんは心配してくれる。
昨日帰ってから、わたしはお母さんに、友達がいないことを話した。うそをついていたことを謝って、斎藤先生や高橋さんたちに言われたことも全部話した。
お母さんは、わたしに失望なんてしなかった。むしろ、今まで気付いてあげられなくてごめんと謝られた。
お母さんは味方だった。それがものすごく嬉しかった。
「分かった。ありがとね、お母さん。いってきます」
「いってらっしゃい。気をつけて」
お母さんに見送られ、わたしは学校へ向かう。
足取りが軽い。
今日も良い天気だ。青い空にゆっくりと雲が流れている。
下駄箱で、同じクラスの女の子に会った。この子は出席番号が近くて、一度わたしに話しかけてくれたことがある。その時は、わたしは上手く話せなかった。
絶好のチャンスだ。今も上手く話せる自信はないけど、イメージトレーニングはたくさんしてきたから大丈夫。深呼吸して、緊張をほぐす。
まずは、あいさつからだ。
マリア、わたし、頑張るからね。
わたしは勇気を出して、一歩を踏み出した。
「お、おはよう!」
―――おわり―――
魔女のおもてなし 秋月未希 @aki_kiki
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