第23話
好きなひとの名前を呼びながら体をゆすった。イミも好きなひとの名前を呼びながら、それ以上にはげしく求めてきた。お互いがお互いのmediaでしかなく、けれどこの世界に産みおとされた朝のように、ideaだった。引いていく波にあばらが洗われ、くろいイソギンチャクがおどり、はずかしいところがすべて露わになって、月光に火照るしろい裸体がふたつ、衣服すらなにもない砂浜に置きざられた。嘘もほんとうも、すべて放ちおえて、絶えだえの息が落ち着いたころ、イミは、
「Thank you, ガッツ」
となくようにわらいながら、ひとつのまま、潮のからいあじがするくちびるを、つよく、つよく、押しつけてきた。そうして初めて、世界に見つけられたように思った。
FATHER にゃんしー @isquaredc
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます