セイコの瞳に地平を駈ける獅子を見た

作者 にゃんしー

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★★★ Excellent!!!

それは、こうやって、にゃんしーさんの小説を読めるから。別にカクヨムを退会しても、読もうと思えば読めるわけなのですけど、やっぱりね、フォローとかできないですし(とは言いつつも、まだ読めてない作品があるのですけど)。もうそろそろWeb小説はいいかなーと思い始めてしばらく経つわけですけど、それでもこういう小説がアップされるわけなんですよ、困ったことに。ほんと、困っちゃいます。

私は、この小説を、かばんからよっこらしょと取り出して、しおりが挟まっているページを開き、ええとどこからだっけと読みかけの場所を探して……と、そんなふうにして読み進めていないということが、とても不思議でなりませんでした。

毎日更新されていくこの小説を、ほぼ毎日欠かさず読みました。次の更新が本当に楽しみでなりませんでした。これが小説を読むってことだよね、と読みながら何度も思いました。これが小説を楽しむってことだよね、と読みながら何度も思いました。

内容については私があーだこーだと細かく触れるまでもないです。できれば触れたくない。とにかく第一話を読んでもらえれば。っていうか読んでください。ほんと、マジで。

ああ。せっかく紙の本に戻りかけていたというのに。でも、いいや。読んでる時間はすごく充実していたし、楽しかったから。毎朝、これを読んでいるあいだ、私の心もサチコとともに、新宿または高円寺にあったから。あっという間に、私の心は、ここじゃないどこかへ跳ぶことができた。

音楽が魔法かどうか、私にはわからないけど、小説は魔法になりえるということが、私にはわかった。読めばわかる。

★★★ Excellent!!!

語り手の感性と言葉遣いによって生み出される独特な世界に引き込まれ、面白く読みました。
小説としてはとにかく読み味がとてもよい。

語り手であるサチコの語る言葉には根拠がありません。
メタ的に言えば彼女の感じたこと、考えることに説得力を持たせるための物語上の仕掛けが何もない。
それはこの作品をストーリーとして捉えようとしたときには瑕疵とみることもできるのかもしれません。

ですが、彼女の語るひどく空虚な言葉と、それによって描かれる世界の像に、かなりリアルに「生きるということ」が映し出されている気がしました。
実際にはそこに何もないのだとしても、人は何かを(サチコの場合には主に「音楽」を)信じるし、死にそうになったりしながらもなんとか生きていく。

だから、この作品のタイトルには西武ライオンズの応援歌なんかが掲げられているのかな、とか思ったりもして。

★★★ Excellent!!!

 地の文が多いんですが、それを感じさせないほど文章力があり面白くてスイスイと読めます。

 主人公がAVに出演したりして過激な描写もあるんですが、セイコとか和尚とかキャラクターは濃いんですが、どこか人間味のある温かさも同時に感じました。

 新宿の魅力に憑りつかれた主人公がよく書かれてると思います。

 全体的に哲学的な内容もあり、深く考えさせられます。
 セックスが人を救うって良いですね。部長が主人公のセックスに救われたと話したシーンが感動しました。