うなぎ
暗黒神ゼブラ
うなぎ
今日は土用の丑の日だからうなぎを食べてみようと思い、買い物に向かっていた。
店名は『嶺庵亭ヱニシ(れいあんていえにし)』
俺はここの常連だ。
ちなみに週八で通っている。
今日もいつも通りお店にきたので扉を開けた。
ガラガラ
「いらっしゃいませ……眞一郎さん今日も暑い中お越しいただきありがとうございます」
「朱莉(あかり)さん、本当今日も暑いですよね」
俺は朱莉さんに会いたくていつも来ているけどさすがにそれは言えない
「あの朱莉さん今日は土用の丑の日ですよね……何かオススメがあれば作ってくれませんか?」
すると朱莉さんが
「いいですよ眞一郎さん。オススメですと昨日捕まえたデンキウナギとかですかね。デンキウナギの蒲焼き定食
……? 今なんて言った、デンキウナギって言ったのか……多分聞き間違いだろ
「そっそれをください朱莉さん」
俺がそう言ったあとに朱莉さんが調理用に持ってきたものを見て俺は思わず
「えっ!? 本物のデンキウナギなんですか!!」
と叫んでしまった。
「そうですよ……うふふ、せっかくなので眞一郎さんには今まで食べたことないものを食べてもらいたくて頑張ったんですよ。今から作りますから待っててくださいね」
そうして朱莉さんは調理を始めた。
朱莉さんが調理している間に俺がここに通うようになった話をしようと思う。
回想
最初は家で姉ちゃんから
『ここね、私の友達のあかりんがやってるお店なんだよ。すごいでしょ!! しんちゃんも行ってみてよ、絶対美味しくてハマるから』
って言われたから行ってみようかなって……別に朱莉さんに会いたくて行くわけじゃない…………嘘です朱莉さんに会いたくて行きます。
俺がそう考えていたら姉ちゃんが
「分かってるって、しんちゃんはあかりんに会えて手作りのご飯が食べれて嬉しいんでしょ、
お姉ちゃんにはそれぐらい簡単に分かるんだぞ。
あかりんが家に遊びに来た時しんちゃんずっとあかりんのことずっっと見てたもんね(まあ、あかりんが家に来てた理由がしんちゃんに会いに来てたのは今は言わなくていいよね……だって面白そうだし。あかりんにもお店にしんちゃんが行くことは言わないでおこう。どんな反応するか楽しみなんだけど本当)そういえば、しんちゃんさ私が高校卒業してから家にあかりんが来なくなって部屋で泣いてたでしょ……悩みがあるならお姉ちゃん話聞くよ。まああかりんに会いたいって悩みなら、もうすぐでなくなるだろうけどね」
……えっ俺が泣いてたの姉ちゃんにバレてたの!!
姉ちゃんが眠ったのを確認してから泣いてたのに……あれ嘘寝だったの!?
「まあ今の俺の悩みだった朱莉さんに会いたいはもうすぐなくなるけど、新しい悩みが出来たんだけど……姉ちゃん聞いてくれる?」
そうして俺は姉ちゃんに悩みを聞いてもらいその後に『嶺庵亭ヱニシ』に向かったのが四ヶ月前の出来事だ。
まあ初めて入った時は緊張で挨拶しか出来なかったけど……会えるだけで幸せだと思った。
それからは仕事帰りに必ず朱莉さんの手作り料理を食べに行っている。
本当に姉ちゃんには感謝しなきゃな
回想終わり
危ない危ないこのままだとずっと思い出に浸ってしまう。
今は料理をしている朱莉さんを見ながら完成まで待ってよう。
今はデンキウナギの蒲焼をご飯に乗せ終わり野菜を千切りにしているところだ。
本当に朱莉さんは美しい……って何考えてんだ俺!! さすがに気持ち悪いだろ……でも本当のとこだし……本当は朱莉さんに恋人がいるのかを聞きたい……けど今の時代それってセクハラになるんじゃないだろうか……そうじゃなくても失礼だよな。
ちょっと姉ちゃんにLINEで聞いてみよう。
『なあ姉ちゃん朱莉さんって恋人いるの?』
送信
一分後
既読がついた
返事が来た。
なになに
『あかりんはしんちゃんにならそういうの聞かれても大丈夫って言ってたから自分で聞いてみたら』
って自分で聞けってそれが難しいから姉ちゃんを頼ったのに!!
……でも姉ちゃんが言ってるこの『あかりんはしんちゃんにならそういうの聞かれても大丈夫って言ってた』ってどういう意味だろう?
でも聞いても大丈夫なんだったら……野菜の千切りが終わった後ぐらいに聞こう。
さすがに包丁を使ってる時に話しかけるのは危ないし、朱莉さんが怪我したら嫌だから。
そして千切りが終わったので俺は朱莉さんに聞いてみた。
「あの、朱莉さんって今恋人っているんですか?……ごめんなさいこんなこと聞いて……ただ気になって……言いたくなかったら言わなくてもいいんですよ!!」
いざ聞いてみたのはいいけど……もし、もしも……いや朱莉さんのことだからいるに決まってる。だってこんなにいい人を周りが放っておくわけがないもんな。
俺はどんな答えが返ってきても……
そう考えていたら朱莉さんが
「こっ恋人……ですか? いませんよ」
とそう言った後に朱莉さんが早口で何かを呟いていた。
「だって私、眞一郎さんのことしか考えてないから……告白されても断ってきたし……ああでも本当は高校卒業する前に…………」
なんか今俺の名前が出て来たような気がするが……俺のすることは一つしかない。
それは、そう朱莉さんに告白する!!
結果がどうなったっていい。
またあの時言っていれば良かったって後悔はしたくない
……でもご飯を食べた後にしよう。
冷えたらせっかく美味しい朱莉さんのご飯の味が落ちちゃう。
まあ朱莉さんの料理は冷えても美味しいんだけど。
パン
「いただきます!!」
「召し上がれ」
そして俺は美味しく……いただきました。
パン
「ご馳走様でした。本当にいつも美味しいです、ありがとうございます」
「お粗末さまです。美味しいと言ってもらえて私も嬉しいです」
「それじゃあそろそろ帰ります。また明日も来ます」
「またのお越しをお待ちしてます♪ 眞一郎さんなら夜でも朝でもいつでも待ってますよ。 本当はダメなんですけど常連さんですからね……本当はただ私が会いたいだけなんだけど(小声)」
そして俺は家に帰った。
「姉ちゃんただいま〜」
「しんちゃんおかえり〜どうだった? 言えた?」
そしていつも通りこうなった。
「ああああ、また言ってない!!!」
「しんちゃんいつになったら言うの? もうお姉ちゃんが代わりに言おうか? さすがにこのままだと二人の関係が全く進まないし……もうもどかしくてもどかしくて仕方ないの!!」
「だっダメだ!! 自分で言うからこそ意味があるんじゃないか!!」
まあそう言っても結局のところ言えてないからな……
「なあ姉ちゃん朱莉さんもう少しで誕生日だったよね?」
「そうだけど、どうしたの?……あ〜そういうこと誕生日プレゼント贈りたいのね。一緒に選んであげよっか?」
「それは大丈夫。今回は花を送るつもりだから」
「そっか……だったら、お姉ちゃんは自分であかりんに送るプレゼント買っとくから」
「分かった。それじゃあ俺は明日プレゼントを買っておくから明後日二人で買ったプレゼントを贈るってことでいい?」
「じゃっそういうことで、私そろそろ寝るね。しんちゃんおやすみ〜」
「じゃあ俺もそろそろ寝るよ。姉ちゃんおやすみ」
俺はもう買う花は決めてある。
それは……
「ブーゲンビリア一点で二千五百三十円です。贈り物ですか?」
「はい……今日誕生日の人がいて、その人に」
俺は照れながら店員さんにそう言った。
そう俺が買った花はブーゲンビリアその花言葉は……
「そうですかお客様……頑張ってくださいね♪」
これはバレてるな。
ブーゲンビリアの花言葉は『情熱』『あなたしか見えない』『あなたは魅力に満ちている』だ。
俺が照れながら言ったから……バレたのか
「……はい、頑張ります。そのどうなったかは今度教えます」
「はい、待ってます♪(これだからこの仕事はやめられないのよね。誰かの幸せの一助になれること、そして何より……花が綺麗だから。やっぱり花って最高!! このお客様が幸せになれますように、神さまお願いします)」
そうして俺は花屋を出て朱莉さんのお店に向かった。
姉ちゃんにはもう連絡済みだから大丈夫だろ、多分。
三十二分後
あれ? 姉ちゃんが来ないんだけど……まさか事故に!?
ピコン
うん? 姉ちゃんからだ、なになに
『姉ちゃんは一足早くプレゼントは渡してるからしんちゃん、がんば!!』
……なっなに言ってんの!? 一緒に渡すんじゃなかったっけ!!
緊張しすぎて渡せるかどうか不安なんだけど!!
……でもこのままだといけないから……よし!!
ガラガラ
「いらっしゃいませ……眞一郎さん、こんにちは。今日は何に致しますか?」
「その、朱莉さん……誕生日おめでとう……ございます。これどうぞ」
「……ああああ、ありがとうございます!! もしかして麻奈(まな)と一緒に選んでくれたんですか?」
「……いえ、俺一人で選びました。……その、あとで花言葉を調べてみてください。この花はブーゲンビリアです……今でもいいんですけど……」
「それではさっそく調べてみます」
朱莉さんはそういい調べ始めた。
そして朱莉さんは顔を真っ赤にしながら
「その……花言葉って『情熱』『あなたしか見えない』『あなたは魅力に満ちている』ですよね……これって告白って思っていいんですか? いいんですよね!!」
「…………はい、本当は俺自身の口で言いたかったんですけど…………朱莉さん!? どっどうしました!! もしかしていやでした? そうなら本当にごめんなさい」
「いえ、違います。嬉しくて、私も眞一郎さんのことがずっと好きで……伝える勇気がなくて、このお店で会えるようになって……それだけで幸せで…………」
朱莉さんが俺のことをずっと好きだった……全く気づかなかった。
えっ嘘、えっこれって夢なの?
「……朱莉さん……俺と付き合ってください!!」
ってもう返事を貰ってるようなものだけど
「……はい喜んで!!」
本当は結婚までいきたいけど……まずはお付き合いからしないと。
だって最初はその……結婚前の甘々な雰囲気を味わいたいし……でもでもお付き合い出来ただけでも幸せすぎる
そして俺と朱莉さんはお付き合いすることになった。
六年後
俺と朱莉さんは結婚することになり、幸せな生活をしている。
子供も三人出来た。
男の子二人と女の子一人だ。
名前は長男の健(たける)次男の真人(まさと)
長女の紗良(さら)だ
十六年後
長男の健と長女の紗良が仲が良すぎる、というか……キスしたり一緒にお風呂入ったりしてるし……なんだかきょうだいというかもう恋人みたいなことばかりしてるんだよな。
一体全体どうしたもんか
まあその話は、また後でということで。
おしまい
うなぎ 暗黒神ゼブラ @ayumu20
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます