カラ、カラ、カラ
雪月
カラ、カラ、カラ
これは、つい最近の出来事。
両親が出掛け、祖父もパチンコ屋に送って家に私だけしか居なくなった時のお話です。
私は玄関のすぐ近くにある自室で読書をしていました。
ガンガンに効かせたエアコンの風の音が少しうるさく聞こえるくらいには、それ以外には音のしない静かな時間です。
誰憚ることなくのんびり過ごせる理想の休日。
そんな優雅な休日を過ごしていた時です。
カラ……と微かな音を私の耳が捕らえました。
私はすぐにそれがスライド式の玄関ドアが動いた音だと気づきます。
さらにカラっと音がします。
その時、じわじわと扉が開いていく状況を私の頭は的確にイメージしていました。
“ヤバい!”
私は慌てて本を置くと自室の襖を開き飛び出します。
「開けるなぁああ!?」
そんな叫びもむなしく、扉は開きました。
……我が家の愛犬の鼻によって。
体が通るだけの隙間をこじ開けて、柴犬のコムギ(9歳♀)とモモコ(2歳♀)が外に飛び出します。
「あぁあああああ!?」
靴もはかずに後を追い掛け、飛び出し防止に用意してあるバリケードに先回りし、何とか外出を阻止した私はほんの僅かな時間で汗びっしょりに。
解き放たれた柴犬2匹は庭を跳ねるように駆け回るのでした。
まぁ、脱走未遂は割りとしょっちゅうあるので、対処にも慣れてますし庭からは案外出ないのですがやっぱり毎回背筋が凍るくらいには焦りますよね。
毎回、ちゃんと閉めたハズの扉をどうやって開けてるのかが一番のホラーです。
鍵かけ忘れてるのが悪いんですけどね。
カラ、カラ、カラ 雪月 @Yutuki4324
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