姉が「弟」に遺したかった思いは

姉の遺稿を一冊の詩集にまとめることにした、弟とその友人。
だけど遺稿を託した姉のボーイフレンドが作った本に、姉の名前はなくて――?

最後まで読むと、その理由が分かります。
登場人物全員が優しいけれど、すれ違ってしまう。
でも最後には一本の糸へと収束していく。
たった4千字の掌編ですが、夏の雰囲気も相まって、短編映画のようです。

随所に挿入される姉の遺した詩も大変美しい。
真夏の日差しの中、白いワンピース姿の女性が目に浮かびます。
読み終わると、「弟」の成長物語だったことに気付きます。

一語一語、ゆっくり味わいながら読んでみてください。