第39話 新たな修行へ

 今日は長老のところの修行がお休みなので、ゆっくり寝れると思っていたが……。


 なにか重い……。


 前にもこんな感覚を味わったような?


 味わったことがないような……?


 私は目を開けると私の上でサリアが寝ていた。


 ……。



 昨日別々で寝たはずだよね?


 「サリア起きて。てか、なんで私のベッドで寝てるの!!起きて!!」

 「お姉ちゃん?トイレ行ってお部屋間違えちゃったみたい。てへっ」


 サリアはにっこり笑いながら「てへっ」としてくれるが、その顔を見た私は何も言えなくなってしまった。

 だって、私の上に天使が寝ているんだよ。その天使に対して、ダメだろ!!みたいな説教をするなんて……。


 私にはできない!!



 私はサリアの頭を撫でると「えへへ」と喜んでくれた。


 「二人ともおはよう」

 「「おはよう!!」」


 いつもなら、私たちがイチャイチャしていたら、出てこない紗夜ちゃんが何故か今日は話しかけてきた……。

 もしかして、この輪の中に入りたいのかもしれない。

 私は紗夜ちゃんに向けて手を伸ばすが、紗夜ちゃんは、何も答えない。


 「ちょうど二人いるから言うけど、修行時間を増やそうと思うんだけど、どうかな?詳しく言うと、魔法で空間を作ってそこで魔法の練習をしてもらう感じかな?その空間の一年がこちらの世界では一秒に値するから、こちらの世界で迷惑かけることはないと思うんだけど……。」

 「「えっ?」」

 「こないだ街に行った時に冒険者と一悶着があったと思うんだけど、学校が始まったら、授業の一環として冒険者をする期間があるんだよ。その時に今回みたいなことが起きてしまえば、誰も助けてくれないってこともあるから、それを起こさないためにもっと訓練した方がいいかな?って思って。」

 「紗夜ちゃんが言いたいことは分かったんだけど、食事とかお風呂とかはどうするの?毎回こっちに戻ってきたら、大変なことになると思うし……。」

 「それは問題ない。食料は買いだめして行く予定だ。お風呂は私の魔法で作るので問題ないはず。」

 「私は賛成!!こないだは、お父さんとお母さんが助けてくれたから大丈夫だったけど、私ってなんにもできないんだもん。怖くて、動けなくなってしまうから、克服してお姉ちゃんを守ってあげたい!!」

 「サリア」

 「アリアは、どうする?もちろんウサとディーロの許可を貰わないと行けないが、貰ったら行きたくないか?」

 「どうしよう。」


 確かに魅力的な提案だと思う。疑似体験時の感覚が残っているため、少し不安な要素もある。

 それは、一年を長く感じてしまうことだ。

 エルフにとって一年は一瞬だが、私は疑似体験をしてしまったので、一年がどれだけ長いか。どれだけ大切にしないかを実感している。

 もし20年かかりました。となったら、あちらの寿命では1/8。


 どうしよう?


 私が悩んでいるとサリアが私の手を握ってきた。



 「不安な気持ちはわかるけど、私たちが何も出来なかったら、その前に死んでしまうかもしれないよ。そんなことになったら、お父さんとお母さん、それに里のみんなを悲しませちゃうよ。私はそうならないように強くなりたい。お姉ちゃんと一緒なら、もっと頑張れるから、一緒に行かない?」

 「分かったよ。やろうか」

 「やった!!」


 確かにその通り。


 魔法が発達していること世界では、いつどこで死んでしまうかも分からない。魔物も存在するのだから、弱い私なんて一瞬で負けてしまうだろう。

 私は目の前の事ばかり考えて、周りが見えなくなっていたのかもしれない。

 前にもサリアに助けられたな。

 いつか、お礼がしたいな。


 私たちは、両親に話すために一階に降りる。


 「「おはよう!!」」

 「「おはよう!!」」


 お母さんとお父さんはテーブル席の椅子に座っているので、私とサリアも椅子に座る。

 私の隣にサリアが座り、対面にお父さんとお母さんがいる。紗夜ちゃんは、机の上にぷかぷかと浮かんでいる……。


 「お父さん、お母さん大事な話があるんだけど!!」

 「「?もしかして、紗夜さんがいることが関係しているのかしら?」」

 「そうだよ。紗夜ちゃんと話したんだけど、今の私たちが1年修行しただけでは、学校に言ったところで何も出来ずに帰ってくるだけになると思うの。だから、紗夜ちゃんの作る空間で修行してもいいかな?」

 「「え?」」

 「もう少し詳しく教えてくれる?」

 「こないだの冒険者ギルドのことでな。そこで二人も怖がって動くこともできなかったから、魔法を習得後に魔物を狩ったりして学校に行く前にある程度の度胸をつけてもらおうと思ってな。学校の一環としてギルドに行くことがあるが、このままでは何もできずに魔物に食われてしまうような気がするんだよ。私が付いているからそんなことがないと言えば、そうなのだが、この子達はそれで満足は成長もせずにただ魔力量が多いだけの存在となってしまう。だから修行の量を増やしてはどうか?と提案したのだよ。その修行も私が作った空間で修行することになる。その空間では一年がこちらの一秒に値するから困ることもないはず。こっちの世界では数日経った感覚になると思う」

 「「……。」」


 お父さんとお母さんは、困った顔をしている。

 さすがにあちらの世界で何年も過ごすことになるも成長期の私の記録が一切取れないことになるから、親心として断りたいのかな?

 私はドキドキしながら返答を待つ。


 お父さんとお母さんは、しばらく考えた後に口を開いた。


 「私は、アリアとサリアがしたいのならいいと思うわ。前回のがトラウマになってしまったのなら、なかなか取り除くことは出来ないから、そういった意味でもその修行はとてもいいと思う。私は学校前にギルドに行ったことがあったけれど、楽しいところという印象があったから頑張ることが出来た。二人にもその感情になって欲しい。成長を見れないのは悲しいけど……。」

 「言いたいことをお母さんに全部言われてしまったよ。アリアとサリアがしたいならしてきなさい。二人とも頑張るんだよ。」

 「「ありがとう!!」」


 私はサリアと目を合わせた後に抱きついた。

 サリアは私が抱きしめる力以上に抱きしめていたので、説得できるか不安だったのだろう。

 両親はそんな様子を見て嬉しそうにしている。


 その後、ゆっくりご飯を食べて自室に戻り動きやすい格好になって裏庭に出た。


 「二人ともちゃんと挨拶はしていきな。あの空間では何年も修行をすることになるから寂しくなると思う。まぁ、寂しくなったら帰ってくればいいだけなのだが、何度も帰ってきては修行にならないからな。」

 「「はい!!」」

 「じゃあ行ってくるね。二人にとっては一瞬だと思うけど、帰ってきたら暖かく迎えて欲しいな。」

 「私も私も!!」


 私たち四人でハグをして、お別れの挨拶は終わった。


「ndbdychdoskshegdichfhdhdtchdhdososudgsnkvstusbeldicudndhcuxohdowhe……。開けゴマ!!」


 紗夜ちゃんが詠唱を言い終えると真っ白な渦のようなものが私たちの前に現れた。

 

 「これが修行場所だ。すぐに、あっちの空間とこっちを結ぶ目の前の渦が無くなるから早く入って。」

 「「はい。行ってきます!!」」


 私たちは白い渦の中に入っていった。


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一応この小説は主人公最強系ですので、ここら辺で書かないと!!って感じです。最近はほのぼの系を書きすぎたので、よく分からない小説になりかけてるかも知れませんね……。

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