第15話 【 光・家族の絆 】




(井戸)

「キュル…、」

( 滑車のロープをひっぱり上げる)



ザァッ!


(風馬)「 ……、」


(二つの水汲みおけをもって調理場へ)







─── 廊下 ───



 …タタタタッ!


(風太)「 ── ♪ 」




(廊下の往復雑巾掛け)


タタタタタッ…ッ!



(雑巾)

ギュウゥゥゥ…

───・・、…………ポタポタ・・ポタ。



(機嫌斜めな勇真)

ムス…。


(勇真)

「 もうっ!ふうにぃ、さむいっ!」


(風太)「 寒くないっ!。ほら、そんなとこでじっとしてるから寒いままなんだって、いっしょにいくよ。せーの… 」



「チュンッ」


(障子)

「 ────…。」



(桜花)「 …? 風太、勇真? 二人とも今朝は早いな 」


(二人)

「 あっ? ちちうえ。おはようございます 」



(桜花)「 今朝は、勇真は一人で起きれたのか?」


(勇真)「 ちがうもん、ふうにぃにむりやりおこされたんだもん。」



(風太)「 あにうえはもっと早くに起きてるんだぞ?」


(勇真)「 だってふうまにいちゃん、ニワトリよりはやいんだもん。」



(笑う桜花)

「 ハハハハッ、ニワトリか。そうか、勇真にはまだ早起きは辛いか。…風馬は本当にしっかりしているから感心だ。」


(勇真)「 ねねっ、ちちうえも今度へやでいっしょにねてもいいでしょ?」


(桜花)「 仕事がゆっくり片付いたらな。」


(勇真)「 ほんと! やくそくだよ? うそつかないでね、絶対だよっ 」



そこへ風馬がやって来る。



(風馬)「 ? 父上、おはようございます。 もう起床されていましたか。」


(桜花)「 風馬か、わざわざ呼びにすまんな。」



(風馬)「 おひつの朝餉あさげの準備も整いましたので お勤め前にいつでも用意できます。」


(桜花)「 ありがとう、すぐに行く 」


(風馬)

「 ……さ、風太、勇真ももう片付けは終わったな?お前たちも井戸で顔洗って朝の支度をするんだ。」


(勇真)「 ごはん!? やった! 」


(風太)「 あっ!ゆうま、ぞうきんと水おけ!! ……もう..しかたないなぁ・・・んんっ、」


ス…ッ。(重たい桶が持ち上がる)



(風太)「 ? 」


水の入った重い水桶は風馬が代わりに持ってくれた。



(風太)「 ? おけ… 」


(風馬)

「 ほら、風太。ぼーっとしてるぞ 」



(風太)

「 ? ───… 、 えへへっ!」


(風馬)「 いくぞ。」



(風太)「 …、うんっ!」





“ ははうえ、あのね ”


おかあさん、亡くして・・


さびしくて、ゆうまとたくさん、がまんできなくて泣いたけど、


風馬にぃちゃんは、


ずっと… 何があってもずっと、ぼくと勇真のそばにいてくれるってやくそくしてくれたんだ。


いっぱいあそんでくれるし、


おねがいだってきいてくれる。


ちちうえの言う事だって


ゆうま、大きくなってお手伝いちゃんと出来るようになったんだよ。



だからね…


もうだいじょうぶ。



“ ぼくたちには、風馬にいちゃんや、父上がいるから。”


もう泣かない。


大きくなったら、


ぼくも


“ 兄上みたいになるの ”



立派な、父上を支えられる風馬にいちゃんのように・・。





(兄の手にそっと繋ぐ小さな手)


(風太)「 ……。」



(風馬)

「 風太、後で勇真連れてみんなで畑行こうな。さつまいも、たくさんなってたぞ。」



(風太)「 いくっ! 行きたい!! ミミズとり!」



“ なれるといいな ”


いつか、ぼくが大きくなっても



“ いつまでも・・父上、あにうえとゆうま、ずっとみんな 一緒がいい ”






【風太】

風人 ──朝焼けの空──



【END】

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風太 風人─朝焼けの空─ @bluesky1303

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