異世界スピノのメタな話。
注:本編のネタバレそのものですので、閲覧にはご注意ください。
Q 結局、スピノはなんだったの?
A あの世界の創造神とはまた別の存在、いうなればアナザー神が、別の世界から調達してきた魂を使って生み出したデバッグ用ユニット。スピノを生み出した神と創造神は人間でいう同僚にあたり、同僚が世界運営でミスってるのを見てこっそり手を出した。創造神はミクロに目を向けて痛い目を見た結果からマクロの方ばかり見るようになってしまった事で、世界がやばかった事にもスピノの存在にも気が付いていなかった。スピノのおかげで致命的な破綻が阻止されたので、今後は創造神もまた世界運営について考えを改めたと思われる。
その出自上、神獣であるのは違いないのだが正式登録された存在ではないので、色々不具合がある。
なおスピノサウルスになったのはアナザー神が“私”の深層意識の読み取りを正しく間違えたため。世界運営は滅茶滅茶上手な神なのだが、人間の個性とか複雑さはよくわかっていないらしい。何故“私”の魂を選んだかについては、「自己評価が下手な癖に、変なところで活動的で好奇心のある善良な人格に大きな力を与えて放り出せば、自分から事件に巻き込まれてなんとかするでしょ」みたいな考えだった模様。もちろんこんな人間的な思考をしたのではなく、どちらかというと数学の計算式みたいな認識である。
Q 魔獣って何なの?
A 作中で説明がある様に、肉を持った邪悪な精霊、とでも言うべき物。世界がまだ不完全な証であり、神の介入の反作用のようなものである。あの世界は地球のような物理的な成り立ちではなく、創世神話のような概念的な世界が安定するにすれ質量を持ったような成り立ちなので、安定するまでは神の介入が必要不可欠だった。しかし神の介入が多ければ世界そのものの力の流れが遮られ、神気溜まりとでもいうべきものが出来てしまう。そこから生まれるのが魔獣である。根本的に彼らはその成り立ちから無意識に周囲を無に還そうとするため、基本的に凶暴で共存性が無い。ただ世界と同じく長く生きる事で存在として安定し、調和を行える可能性は残されている。ヒポポグリフなんかはその一例であると言える。
竜王大陸と呼ばれる作中の大陸にやたら魔獣が多いのはそういった成り立ちが原因で、世界の安定化によって後から発生した他の大陸は逆に魔獣がほとんどいない。
Q 神獣って何なの?
A 神の地上介入用の自律型端末。魔獣の項目で述べたように神々が直接地上に干渉するとろくな事にならないため、間接的に地上を管理、運営する為に生み出された。あの世界のオリジナルではなく、もっと別の世界で生み出された後神々の世界で流行った。
作中登場する神獣が古生物なのは作者的には魔獣との区別化であるが、世界観的には魔獣より物理法則よりにする事で安定化を狙ったという理由もある。
なので見方によっては魔獣と同類でもあり、作中におけるレイストフの亡霊化と暴走はそれが原因。なぜ今暴走したかというと、因果が逆であり、レイストフの暴走とそれによってもたらされる致命的破綻を予測したアナザー神がスピノを派遣した。
Q オルタレーネって結局どうなったの?
A 一言でいうと神人になった。肉体的には限りなく神に近い存在。もともと女神憑き、あるいは祝福持ちというのは、体内に神の因子を持っている。これは地上を去った神々の肉体が世界に拡散した後、地上に偏在しつつも偏りがあるせいで発生する現象なのだが、オルタレーネは境界剣の試練の最中、アルカレーレ人としての要素を焼き尽くされ、この神の因子だけが残った。試練達成に伴ってリジェネが行われた際、アルカレーレ人の因子が皆無だった為境界剣が機械的に残された因子を元に再生を行った為こうなってしまった。
なお、境界剣の試練は正式な巫女であればちょっと掌を火傷する程度で済むのだが、前述のように彼女が仕えるスピノが世界に正式に登録されていない為、防衛機能が誤作動を起こして大惨事になりかけた事になる。境界剣にログデータとして残っていた先代の巫女達の残留思念が介入しなければ試練達成もならずに焼け死んでいた。
どちらにせよ挙動としてはバグ塗れなので、二度とこういう事がないように事件のあと創造神がこっそり境界剣のシステムを書き換えました。というか神人の存在自体が完全な想定外であり、ほっとくとオルタレーネがあの世界を好きに書き換えられてしまう。今はセキュリティを見直したので、オルタレーネが境界剣を使っても、世界に天気を増やすとか永遠に昼にするとかはできない模様(ただ湖に境界線を引いて安全な航路は作った)。
Q 墓守のグランクエイクって死んだの?
A レイストフをドラゴンゾンビモードまでは追い込んだもののそこで歯が立たなかった為、自分から禁則地に飛び込んで一命を取り留めました。今は禁則地の片隅で休眠中。いつか遠い未来、禁則地が解放された時にしれっと戻ってくると思われます。
Q スピノの見た神殿の壁画と、現在の動植物が大きく違うのは何で?
A もともと神は動物と人に大きな差をつけず、同じ基本データを使いまわして生み出したため、当初は人と動物は言葉を喋るとか二足歩行するとかしか違いがありませんでした。しかし概念の影響が強いあの世界では、確固たる自我を持たない動物たちは曖昧な存在でもあり、長い年月と共に変異が進みかつてとは似ても似つかない姿に変わってしまったようです。魔獣と似てる印象をスピノが受けたのもこれが原因です。
異世界スピノ・小噺集 SIS @masumoto0721
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