先入観が焼き尽くされていく衝撃作


夜明けまでの制限時間。病態生理の一環が裏付ける【夜】であることの必然性。
吸血鬼というメタファーを物語に上手く融合させ、時間切迫という緊張感から瞳が離れられない。
限られたその時間の中で紡がれる方向性に、私たちは新たな物語の可能性を知ることになるのではないだろうか。

心拍からめぐる血流をrpmとしてアドレナリンの奔流を感じるような臨場感に魅せられる。

また、ライドの疾走感の心地よさに高鳴る心理描写として醸す百合要素も見事にマッチしていて、センスの高さを感じざるを得ない。

感性あふれる名セリフの存在感も、控え目の自然体でありながら、読み手の胸に深く刻み込まれていく。この必然性に私は、作者様の大きな可能性に礼賛として賛辞を送りたい。

配慮が行き届いているのか、夏でありながら暑さを感じさせない涼風感たらしめる作風。
ひと夏のかけがえのない貴重な読書体験をぜひ、この機会に体感してみてください。

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