第36話
「こんるしー(おはようございます)」
四条家の管理する土地を吸収。
結果、
「うぅぅ……ウタだけは、わたくしのこと否定しないでぇ……あなただけは受け入れてぇ……!」
「どしたんはなしきこか(よしよし)」
朝七時。
俺を抱き締めながら寝泣きするミズホの頭を撫でる。
それで顔がふにゃっとなったところで腕から脱出だ。
「わたくしこんななのに、ウタなんでこんなにやさしぃのぉ……!」
「あーそれはかれしがわるいわ(社会の辛さ知ってるからなぁ)」
ちょっとトチ狂いたくなる気持ちもわかるさ。
「おれだったらそんなおもいさせないのになぁいやおまえはいもうとみたいなやつやからぜったいにてぇださないわえんきょりってさびしくなるよねそのきもちわかるこんどのみにいこうよ(じゃ、仕事してくっから)」
「あひぃ~~~!?♡」
というわけで半寝ぼけのミズホをあやして仕事に向かうぜ。
なお使用人のクレハさんからは、
『ウタ様は泥沼みたいな包容力で奥様を甘やかさないでください! 少しは厳しくして! このままじゃもっと頭がパーに……!』
と言われてるが、まぁ大丈夫だろたぶん。
◆ ◇ ◆
朝の街に出発だ。
俺は
ぷかぷかしながら支配地の街をパトロールしていく。
「あーウタ様だ!」
「かいぞくやめなよ(ウタくんですよー)」
「パトロールお疲れ様でーす!」
「ぷり(うーす!)」
街を回ると民衆がよく手を振ってくれる。
前管理者の四条イラガはパトロールなんてしなかったらしい。
基本的には待ちの姿勢で、連絡してようやく動く形だったんだと。
しかも都心みたいなお金があるところにはすぐ出向くが、過疎地みたいなところは後回しだったとか。
「うたさまー! 今度いっしょにゲームしてあそぼー!」
「しゃんぐりらふろんてぃあー(おーゲームかいいね)」
というわけで、
今日も出勤中や登校中の老若男女がワイワイだ。
「うぅ、ブラック企業に入っちゃったぁ。朝から疲労が抜けないよぉ死にたい……」
「ひろぽん(がんばれ『肉体再生』)」
「うぉおおおーー元気湧いたぁッ! ウタ様あざーーすッ! ついでにブラック企業の上層部全員ボコボコにしてくれませんかぁ!?」
「てんちゅう(自分でやってきな、
「キェェェェアザースーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
そんな感じで、妖魔を探しつつみんなと挨拶したり困ってる人を助けたりして、俺は平和的に土地を管理していくのだった。
平和ー!
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クレハさん「あの子、なぜかブラック企業に死ぬほど厳しいんですよねー……!!!」
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