カラき夢みし繰り人よ　～カラクリ～

禍死吏（かしり）―――それは人を鏖殺せしめる自然災害。
遥か千年以上もの昔から、黒い月、赤い夜、泥濘、湧き出る脅威「湧人（ゆうと）」との戦いに明け暮れる「人形師」と防災組織「籠目隊」。日本の無形文化財とも言われる人形五大家を基幹とした人形師と籠目隊の血脈は、既得権益と古臭い因習に雁字搦めとなっていた。新しき風を良しとしない黴臭い風習。臭い物に蓋をすることで続いてきた慣習。年々増加傾向にある禍死吏の発生件数と合わせて、世間からの風当たりも日増しに強くなっている。
没落した人形五大家が一つ「改造の武美家」。その忌名を唯一受け継ぐ最高峰の人形師「武美真弘」は、過去のトラウマから自分を「人形を遣う人形」―――「人形遣い」と自称し、恩師であり上司でもある田金崇の指示の下、籠目隊の不足人員をその場で補充…続きを読む