第19話 無双の日常

次元喰らいとの壮絶な戦いから1年が経過した夏の日。

エターナリアの新首都では、大陸統一1周年を祝う祭りが開かれていた。


街は活気に満ち、至る所で音楽が鳴り響き、人々の笑い声が聞こえる。

かつての敵対国の人々も、今では和やかに語り合っている。


寛人は高台に立ち、この光景を眺めていた。


「無限様!」


振り返ると、リリアが駆けてくるところだった。


「どうした、リリア?」


「もう、探したわよ。祭りの開会式、あなたがいないと始まらないじゃない」


寛人は苦笑いを浮かべる。


「すまない。ちょっと考え事をしてて」


リリアは寛人の横に立ち、共に街を見下ろす。


「信じられないわね。1年前まで、この光景は夢のようだった」


「ああ」寛人が頷く。「みんなの力があったからこそだ」


その時、空から元気な声が聞こえてきた。


「むげんちゃーん!リリアちゃーん!」


ミーナが華麗な飛行で二人の元にやってくる。


「やっと見つけた!エリザベートさんが探してるよ」


「そうか、行かなきゃな」寛人が言う。


三人で広場に向かう途中、シャオメイとフレイヤに出会う。


「あら、ここにいたのね」シャオメイがクスッと笑う。


「みなさん、お待たせしてすみません」フレイヤが丁寧に頭を下げる。


全員揃って広場に到着すると、エリザベートが安堵の表情で迎えてくれた。


「よかった、間に合いましたね」


寛人は申し訳なさそうに頭を下げる。

「すまない、エリザベート。みんなを待たせてしまって」


エリザベートは微笑んで首を振る。

「いいえ、あなたが来てくれさえすれば」


壇上に立った寛人。

大勢の人々が、彼の姿を見上げている。


深呼吸をして、寛人は話し始めた。


「1年前、我々は大きな危機に直面しました。しかし、皆さんの団結と勇気によって、その危機を乗り越えることができました」


会場に静寂が広がる。


「そして今、私たちは新しい時代を歩み始めています。かつての敵対も乗り越え、共に手を取り合って」


寛人は一瞬言葉を切り、会場を見渡す。


「この1年で、私たちは多くのことを学びました。違いを認め合うこと、互いを理解し合うこと、そして共に未来を築いていくことの大切さを」


彼の言葉に、会場から大きな拍手が沸き起こる。


「これからも困難はあるでしょう。しかし、私は信じています。我々が一つになれば、どんな試練も乗り越えられると」


寛人の目に、強い決意の色が宿る。


「さあ、新しい時代へ。共に、素晴らしい未来を作り上げていきましょう!」


大歓声が響き渡る。

人々の顔には、希望に満ちた表情が浮かんでいる。


式典が終わり、寛人は仲間たちと共に祭りを楽しんだ。

屋台を巡り、出し物を見学し、踊りの輪に加わる。


夜になり、花火が打ち上げられた。

寛人たちは、静かな丘の上でその光景を眺めていた。


「むげんちゃん、幸せ?」ミーナが寛人の肩に止まりながら尋ねる。


寛人は微笑んで答えた。

「ああ、とても幸せだよ」


「でも、これからも色々あるわよ」シャオメイが意味深な笑みを浮かべる。


「そうね。平和な時代こそ、油断は禁物です」エリザベートが付け加える。


「光の女神様も、私たちを見守っていてくださいます」フレイヤが静かに言う。


リリアが寛人の隣に座り、彼の手を軽く握る。

「私たち、これからもずっと一緒よね?」


寛人は仲間たちを見回し、そして夜空を見上げた。


「ああ、もちろんさ」


彼の目に、遠い異世界の記憶が浮かぶ。

そして、この世界で見つけた新しい絆。


(これが俺の...本当の居場所なんだ)


寛人は心の中でそう呟いた。


花火が夜空を彩り、新しい時代の幕開けを告げていた。

寛人たちの冒険は終わったが、彼らの物語は、まだ始まったばかり。


これからどんな未来が待っているのか。

それは誰にも分からない。


ただ一つ確かなことは——

彼らが共にいる限り、どんな困難も乗り越えられるということ。


そう、これからも彼らの"無双"は続いていくのだ。





【あとがき】

異世界ファンタジーを初めて書いてみました。

「完結させる」を目的に書いたので途中書き込みが甘かったり、飛ばしてしまうシーンもあったかと思います。

現在、長編で異世界ファンタジーの構成を練っております。近々お届けできるかと思いますので、興味があれば作者の方もフォローしておいていただけると嬉しいです。


数ある作品の中から「神様から無限の力をもらったので、異世界で無双して世界を救います!」を選んでいただき、最後までお読みいただき本当にありがとうございました。

これからも引き続き楽しんでいただける作品を書ければと思っておりますので、他の作品でもよろしくお願いいたします。

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神様から無限の力をもらったので、異世界で無双して世界を救います! 星宮 嶺 @qnemy

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