第18話 氷の城での最終決戦
寛人たち6人は、巨大な氷の城の前に立っていた。
城全体が青白く輝き、その周りを異様な光の渦が取り巻いている。
「ここが...最後の戦場ね」
リリアが息を呑む。
「むげんちゃん、怖いよ...」
ミーナが寛人の肩にしがみつく。
「大丈夫だ、みんな」
寛人が仲間たちを見回す。
「俺たちなら、きっと勝てる」
全員が頷き、決意を新たにする。
城の入り口に近づくと、突如として地面が揺れ始めた。
「なっ...!?」
氷の城が、まるで生き物のように動き出す。
城壁が歪み、尖った氷の槍が一行めがけて襲いかかる。
「危ない!」
寛人が咄嗟に仲間たちを庇う。
彼の体から放たれる無限の力が、氷の槍を粉々に砕く。
「さすがね」
シャオメイが感心したように言う。
「でも、こんなんじゃ城に入れないわ」
エリザベートが眉をひそめる。
その時、フレイヤが一歩前に出る。
「私に任せてください」
彼女は目を閉じ、両手を前に差し出す。
静かな祈りの言葉が、彼女の唇から漏れる。
すると——
カァァン...
氷の城に、一筋の光の道が現れた。
「すごい...」
リリアが驚きの声を上げる。
「行きましょう」
フレイヤが静かに言う。
「この道は、長くは持ちません」
一行は急いで光の道を進む。
城内に足を踏み入れた瞬間、背後で大きな音がする。
振り返ると、入り口が完全に塞がれていた。
「もう...後には引けないわね」
シャオメイが呟く。
城内は、想像を絶する光景だった。
壁も床も天井も、全てが歪んだ氷で覆われている。
そこかしこに、異次元の景色が透けて見える。
「気をつけて」
寛人が警告する。
「どこに敵が潜んでいるか分からない」
一行は慎重に前進する。
しかし——
「きゃっ!」
突如、リリアの足元が崩れる。
「リリア!」
寛人が咄嗟に彼女の手を掴む。
「だ、大丈夫...ありがとう」
リリアが安堵の表情を浮かべる。
危機一髪の場面を乗り越え、一行は中央の大広間にたどり着く。
そこには——
「あれが...」
巨大な氷の玉座。
そしてその上に座る、得体の知れない存在。
人型ではあるが、その姿は常に揺らぎ、形を変えている。
まるで、現実と非現実の狭間に存在しているかのようだ。
「よくぞここまで来た、異世界の者よ」
その声は、耳で聞くというより、直接脳に響いてくるような感覚だった。
「お前が...次元喰らいの核か」
寛人が一歩前に出る。
「そうだ。我々は、全ての世界を喰らいつくしている存在。お前たちの世界も、もうすぐ我々のエネルギーとなる」
「そんなことは、させない!」
寛人が力強く宣言する。
核が、不気味な笑みを浮かべる。
「ほう...では、力を見せてもらおうか」
突如、空間が歪み始める。
一行の周りに、無数の次元の裂け目が出現する。
「くっ...」
寛人たちは、あらゆる方向から襲いかかる攻撃をかわす。
リリアの矢が次元の裂け目を貫き、シャオメイの投げ針が敵の姿を捉える。
エリザベートの剣さばきが、複数の攻撃を同時に防ぐ。
「むげんちゃん、あそこ!」
ミーナの声に、寛人が核に向かって跳躍する。
ドゴォン!
彼の拳が、核めがけて突き出される。
しかし——
「甘い」
核の姿が、まるで霧のように消え去る。
「な...」
寛人が驚く間もなく、背後から強烈な一撃を受ける。
「ぐはっ!」
「寛人!」
仲間たちの悲鳴が響く。
寛人は、壁に叩きつけられる。
しかし、すぐに立ち上がる。
「まだだ...ここで、倒れるわけにはいかない!」
彼の体から、強烈な光が放たれる。
「無限の力...ここで、全て解放する!」
寛人の姿が、まばゆい光に包まれる。
「みんな!力を貸してくれ!」
仲間たちが頷き、寛人の元に駆け寄る。
リリアの矢が、寛人の力を増幅させる導線となる。
シャオメイの影の力が、敵の動きを封じ込める。
エリザベートの剣が、寛人の攻撃を守り抜く盾となる。
ミーナの魔法の粉が、寛人の動きを加速させる。
そしてフレイヤの祈りが、全ての力を一つに結び付ける。
「行くぞ...最後の一撃だ!」
寛人の姿が消え、次の瞬間——
核の眼前に現れる。
「これで終わりだ!」
寛人の拳が、核めがけて突き出される。
その瞬間、世界が白く染まる。
...
...
...
「む、むげんちゃん...?」
かすかな声が、寛人の耳に届く。
「むげんちゃん!」
目を開けると、そこには仲間たちの安堵の表情があった。
「みんな...俺たち、勝ったのか?」
フレイヤが静かに頷く。
「はい。次元喰らいは消滅しました。世界は...救われたのです」
寛人は、ゆっくりと立ち上がる。
氷の城は消え、彼らは再び雪原の上にいた。
空には、朝日が昇り始めていた。
「終わったんだね...」
リリアが感極まった様子で呟く。
「ああ」
寛人が頷く。
「でも、これは終わりじゃない。新しい世界の始まりだ」
6人は、朝日に照らされた大地を見渡す。
彼らの前には、希望に満ちた未来が広がっていた。
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