第17話 北への旅路と試練
寛人たち6人は、大陸の北端を目指して旅を始めた。
初冬の寒さが厳しさを増す中、彼らは険しい山々を越え、凍てつく川を渡り、果てしない雪原を進んでいく。
「くっ...寒い」
リリアが身を震わせる。彼女の吐く息が白く凍る。
「大丈夫?」
寛人が心配そうに尋ねる。
「え、ええ...なんとか」
「むげんちゃん、ミーナ寒くて飛べないよ〜」
ミーナが寛人のポケットに潜り込む。
「仕方ないな。ここはみんなで体を寄せ合って進もう」
寛人が提案する。
一行は互いの体温を分け合いながら、雪を踏みしめて進む。
エリザベートが先頭に立ち、効率的な進路を選びながら道を切り開いていく。
「前方に洞窟が見えます。そこで休憩しましょう」
エリザベートが声を上げる。
洞窟に到着した一行。
フレイヤが祈りを捧げ、不思議な暖かさが洞窟内に広がる。
「ふぅ...少し温まったわ」
シャオメイが安堵の表情を浮かべる。
休憩中、寛人は考え込んでいた。
フレイヤがそっと寄り添う。
「何を悩んでいるのですか?」
「ああ...この先のことをね」
寛人が答える。
「次元喰らいの正体も分からないまま、どうやって戦えばいいのか...」
フレイヤは静かに微笑んだ。
「寛人さん、覚えていますか? 光の女神様の神託を」
寛人は頷く。
「ああ...『七つの試練が待ち受ける』『光と闇が交わるとき、世界の運命が決する』...」
「そうです。そして最後の言葉...」
寛人が続ける。
「『無限の力を持つ者よ、汝の選択が全てを左右する』...か」
「私は信じています」
フレイヤが真剣な眼差しで寛人を見つめる。
「あなたの力と、あなたの選択が、この世界を救うと」
寛人は深く息を吐き、そして微笑んだ。
「ありがとう、フレイヤ。それを聞いて、少し自信が持てたよ」
休憩を終えた一行は、再び旅を続ける。
しかし、その道中には想像を絶する困難が待ち受けていた。
突如、地面が揺れ始める。
「な、何!?」
リリアが驚いて叫ぶ。
雪原が裂け、そこから巨大な氷の怪物が姿を現す。
「みんな、気をつけて!」
寛人が警告する。
氷の怪物が、巨大な腕を振り下ろす。
「くっ!」
寛人が咄嗟に身を翻し、攻撃をかわす。
「私に任せて!」
リリアが弓を構える。
彼女の矢が、怪物の弱点を的確に狙い撃つ。
「やった!」
しかし、喜びもつかの間。
氷の怪物は、あっという間に自己再生してしまう。
「どうすれば...」
エリザベートが困惑の表情を浮かべる。
その時、シャオメイが叫ぶ。
「あそこよ! 怪物の中心に何かが見える!」
確かに、怪物の胸の辺りに、小さな光る物体が埋め込まれているのが見える。
「あれが弱点か!」
寛人が判断する。
「みんな、あの光る物体を狙うぞ!」
一斉に攻撃を仕掛ける6人。
リリアの矢、シャオメイの投げ針、エリザベートの剣撃。
そしてフレイヤの祈りが、みんなの力を増幅させる。
「ミーナ、頼む!」
寛人が叫ぶ。
「うん、任せて!」
ミーナの魔法の粉が、怪物の動きを鈍らせる。
「今だ!」
寛人が怪物に向かって跳躍する。
彼の拳が、怪物の中心めがけて突き出される。
ドゴォォン!
轟音と共に、怪物が砕け散る。
「やった!」
歓声が上がる。
しかし、寛人の表情は厳しいままだった。
「これが...七つの試練の一つか」
彼の言葉に、全員が沈黙する。
これから先、さらなる試練が待っているのだ。
旅は続く。
吹雪の中、視界が効かなくなる。
「このままじゃ、進めないわ!」
リリアが叫ぶ。
「むげんちゃん、どうしよう?」
ミーナが不安そうに尋ねる。
寛人は目を閉じ、深く呼吸する。
そして——
「こっちだ」
彼は迷いなく一つの方向を指し示す。
「どうして分かるの?」
シャオメイが不思議そうに尋ねる。
「...感じるんだ。俺たちが向かうべき場所が」
寛人の言葉に、誰も疑問を挟まなかった。
彼の直感を、全員が信じているのだ。
吹雪を越え、凍てつく海を渡り、そして——
「あれは...」
フレイヤが遠くを指差す。
地平線の彼方に、巨大な氷の城が見える。
その周りを、異様な光の渦が取り巻いていた。
「あそこね...」
シャオメイが呟く。
「ああ」
寛人が頷く。
「俺たちの目的地...次元喰らいの核がいる場所だ」
一同の表情が引き締まる。
「さあ、行こう」
寛人が前を向く。
「最後の戦いだ」
6人は互いに頷き合い、氷の城へと歩みを進める。
彼らの心には、不安と期待、そして強い決意が交錯していた。
世界の命運を賭けた戦い。
果たして彼らは、次元喰らいを倒し、世界を救うことができるのか——
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