雑談 白蛇と耳鳴り
これはホラーというよりも、ちょっぴり不思議な話程度の認識で読んでくれると助かる。
思い返すと、私は蛇に縁がある。
巳年という点もあるが、それ以上に蛇に遭遇する率が高いのだ。
幼稚園にすら入っていない幼い頃。
祖母の実家が田舎の山の近くにある。お盆休みにはよく連れていってもらった。
そこで会う度に言われた事があった。
それが「蛇について行くな」だ。
山が近い事もあり、野生の蛇がいる。ただ単に毒蛇もいるから言われただけかも知れないが、祖母は山に近付くだけで「蛇が出るから入ったらだめだ」と私を山から遠ざけた。
それとこれが関係あるかは分からないが、私にはオカルト的な現象が近付くと、必ず耳鳴りがする。
面白い事に、一歩近付くと耳鳴りがし、一歩下がると耳鳴りがしなくなる、くらい防犯レベルで使えることだ。
この耳鳴りには結構助けられている。
耳鳴りがするかしないかで、それがオカルト現象、特にやばいものかどうかが判断できる。
一番分かりやすいのは、一人でドライブへ行った時に偶然訪れた大きな神社で、大量のヌイグルミを見た時だ。
おそらくお焚き上げとかで集められていたのか、少し小汚いヌイグルミが大量に一か所に集められていた。
私はそれが気になり、一歩近付いた。
そしてその手前にある大きな黄色のクマ(あの有名な、腹出し、半裸の)のヌイグルミと目が合った。その途端、耳鳴りと、急な下痢に襲われた。急いでその場を離れてトイレに駆け込んだが、その時は既に腹痛はおさまっていた。
何だろうと思いながらトイレから出て、ヌイグルミのある方を振り返った。そしてやはり黄色のクマと目が合い、今度は悪寒がし、鳥肌が立ち始めた。
全身が近付くことを拒絶している気がし、その日はもうヌイグルミには近づかず、帰った。
他にも、トイレや路地裏、無人神社。
そういった場所に興味本位、あるいは偶然近付いた時、突然耳鳴りがし、後ろに下がるとなくなる。
次第にそれが警報なのだと気付き、危ないものを避けて通ることが出来るようになっていた。
だが最初から耳鳴りが起きたわけではない。
初めて耳鳴りがしたのは、田舎にある祖母の家。
そう、あの「蛇に近付くな」と何かと蛇を警戒する祖母の家だ。
そこにある所謂大黒柱と思われる大きな柱。
そこに私は幼い頃、何故かは分からないが、耳を当てたことがあった。その時、柱の奥からピーって音がした。
それが初めての耳鳴り。そしてそれから危ないものに近付くと耳鳴りがするようになったのだ。
そしてまた祖母の話に戻るが、私は蛇に近付くなと言われているが、私はよく蛇に遭遇する。
よく一人で旅行に行くのだが、山奥にある神社へ行く途中の道で蛇に出会ったりすることはあるが、山の中だからいるのは当然だ。
むしろ不思議なのは、道端で蛇の死骸を目にすることが多かったり、住宅街でも蛇と会う事が多い。
まあ、それも偶然であり、祖母の言葉のせいで、そう思うのかも知れない。
しかし一度だけ、妙な蛇に会った。
通学路にある神社。
私は時々その神社に参拝に行くことがあり、その日も何となく時間があったので神社に立ち寄った。
だけどその日、神様の通り道と言われている鳥居から本殿のある場所に、白い蛇がいた。
それも賽銭箱のちょうど目の前に。
私は不思議に思いながらも賽銭箱に小銭をいれて、いつも通り参拝した。
白い蛇はまだ近くにいた。その後、社の後ろ側に這っていってしまった。その姿が神秘的で、私はついて行こうとしたが、その時祖母の遺言にもあたる「蛇についていくな」を思い出し、踏みとどまった。
そしてそのまま帰った。
しかしその神社は小さな神社だが、住宅街にある、よくある神社だ。
近くに山はなく、住宅と老人ホームがあるだけ。
そんなところに、白い蛇がいる?
人によってはそれを神の使いだという人もいるかも知れないが、私にはついていってはいけないナニカに感じた。耳鳴りがしないから禍々しいものではなかったかも知れないが、今でもあの白蛇を思い出しては、不思議に思う。
そしてもし次に白蛇と神社で会う事があったら、聞いてみたい。
あなたは神の使い、それとも祖母の使いか、って。
本当にあった不思議な話 シモルカー @simotuki30
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