サイバーパンク!
- ★★★ Excellent!!!
自動化したゴミ収集車とほとんどそれに仕事を奪われてしまっている労働者である「俺」が私をサイバーパンクの世界に誘います。
そこで出てきたテレパス「もどき」の少女、「偽超能力者被害者の会」、情報の出し方がとてもうまくて、読むのをやめられなくなります。
さらに、この作品で出てくる(過去に存在した)宗教団体の思想というのが、メディアによる身体と精神の拡張という現実世界とサイバーパンク的物語世界をうまくつなぐようなもので大変魅力的です。
このさらっと流してしまったところ、主人公の人格をめぐる話、この部分はもっと読みたかったところです。教祖にしても、倉橋の現在の戸籍上の親にしても、どれももっと知りたいと思える人物ですし、照射の会がいかにこの世界に、また主人公たちに傷跡を残していったかという部分についても、もっとこの作品の中で体験したかったと思うのです。
これをプロトタイプとした長編小説が欲しいなと思いました。