ブラックベリーシンドローム

夕日ゆうや

ブラックベリーシンドローム

 ブラックベリーの変異種〝Δデルタ〟株。

 それが世界に蔓延して半年。

 世界中で、ブラックベリー吸引に伴うブラックベリー力を発揮するブラックベリーマンが現れるようになった。

 ブラックベリーマンはその性質の善悪にかかわらず、ブラックベリー力をふるい、世界各地でブラックベリーショックをもたらした。

 善の行いも、悪の行いも、ブラックベリーの登場により、人々の生活を一変させた。

 ブラックベリー事変。

 一部のアンチブラックベリー派はブラックベリーの流通をストップさせ、ブラックベリー農家はその持て余したブラックベリーを家畜に与えることにした。

 ブラックベリーΔデルタ株の因子を持つブラックベリー家畜は、そのブラックベリー力を持て余す結果となった。

 それにより世界はさらに混乱をもたらした。

 ブラックベリーは世界に平和をもたらすとしたブラックベリー推進派と呼ばれた。

 アンチブラックベリー派とブラックベリー推進派に別れたブラックベリー人類は、その様相を変えつつ、世界を巻き込み、ブラックベリー戦争を引き起こすこととなる。

 ブラックベリー人類は、そのブラックベリー力の脅威に身を震わせることになった。

 こうしてブラックベリー人類は、その歴史にブラックベリー事変という名の大罪を抱えることになった。

 結果論ではあるが、ブラックベリーがもたらしたのは高糖度の甘さだけではなく、ブラックベリーとしてのあり方、価値感をもたらすこととなった。

 人はまだ変われる――。

 ブラックベリーは人に理解を示す結果となった。

 歴史を学ぶ際、このブラックベリー事変を注意深く次世代へ受け継ぐこととなった。

 ブラックベリーはブラックベリー人類に分かち合う可能性と、未来を継ぐことを証明した。


 こうして一つ。ブラックベリー世界にブラックベリーを……、ブラックベリー……






「この日記を書いた人、ブラックベリーシンドロームですね」

「ああ。究極の小説を生み出すために、生まれた人間が錯乱したのだろう?」

「ははは。もう狂っているじゃないか。おっとクランベリー軍がやってくる」

「ちっ。もうか。砲撃戦開始」

 銃弾の音が響く。

 クランベリー推進派の軍が襲ってきているのだ。

「俺たちは、もう何にも縛られないっ!!」


 俺たちはなんのために戦っているのだろう?

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