第10章「人生に絶対はない。だからこそ面白い」

「さて、宮藤さん。人生について色々と考察してきたわけだけど、私が辿り着いた結論はこれよ」

 麗華は、真面目な顔で切り出した。

 

「結論、ですか。ぜひ聞かせてください」

 宮藤さんは、期待に胸を膨らませる。

 

「私の人生考察、結局いつも暫定的な答えばっかりなのよね。生まれた理由も、生きる意味も、死後のことも、確実なことなんて何一つないの」

 麗華は、あっけらかんと言う。

 

「え、結論がないんですか?」

 宮藤さんは、拍子抜けした様子だ。

 

「そう、ないのよ。だって人生なんて、絶対的な答えがあるはずないじゃない。いくら考えても、わからないことだらけなのよ」

 麗華は、にやりと笑う。

 

「確かに、人生の謎は尽きませんからね……」

 宮藤さんは、深いため息をつく。

 

「でもね、だからこそ人生は面白いとも言えるのよ。絶対的な答えがないからこそ、自分なりの答えを見つける楽しさがあるのよね」

 麗華は、目を輝かせて言う。

 

「自分なりの答え、ですか」

 宮藤さんは、考え込む様子だ。

 

「そう、自分なりの答えを見つけることが大事なの。他人の答えをそのまま受け入れるんじゃなくて、自分の頭で考えて、自分の心で感じた答えを大切にすること。それが人生を豊かにするのよ」

 麗華は、熱弁をふるう。

 

「なるほど、自分で答えを見つける。確かにそれが大切かもしれません」

 宮藤さんは、納得したように頷く。

 

「でしょう? だって、人生に正解なんてないんだもの。だからこそ、自分なりの答えを見つける過程が面白いのよ。わからないことだらけの中で、それでも今を楽しく生きること。結局それが私の見つけた答えなのかも」

 麗華は、にっこりと微笑む。

 

「先生の答え、すごく共感できます。不確かだからこそ、自分なりに前向きに生きるしかないってことですよね」

 宮藤さんは、目を輝かせる。

 

「そういうこと。人生に絶対はないからこそ、自分らしく生きる自由があるのよ。その自由を存分に楽しむことが、人生を豊かにするのよね」

 麗華は、満足そうに言う。

 

「先生の話、すごく勇気づけられました。もっと肩の力を抜いて、自分なりの人生を歩んでみようと思います」

 宮藤さんは、決意を新たにする。

 

「ええ、そうして欲しいわ。宮藤さんなりの素敵な人生を見つけてね。迷った時はまた相談に来てちょうだい。一緒に考えましょう」

 麗華は、優しい眼差しで言う。

 

「ありがとうございます、先生。でも、相談に来る時は、先生おすすめのカレー屋さんに連れて行ってくださいね」

 宮藤さんは、にやりと笑う。

 

「もちのろんよ!  私の人生考察にカレーは欠かせないものだからね」

 麗華は、屈託なく笑う。

 

「先生らしいです。哲学とカレー、最高の組み合わせですね」

 宮藤さんは、からかうように言う。

 

「そうよ、哲学とカレーは切っても切り離せない関係なのよ。深く考えた後は、スパイシーなカレーで脳みそをリフレッシュするの。これが私の哲学よ」

 麗華は、ドヤ顔で言い放つ。

 

「先生の哲学、独特ですね……。でも、確かに美味しいものを食べると、気分転換になりますよね」

 宮藤さんは、苦笑しつつも同意する。

 

「でしょう? だから、人生に迷った時はカレーを食べるのよ。そうすれば、きっと前向きな気持ちになれるはずよ」

 麗華は、自信たっぷりに言う。

 

「カレーパワー、侮れませんね。次に悩んだ時は、先生直伝のカレーを食べてみます」

 宮藤さんは、真剣な顔で頷く。

 

「よし、それでこそ私の弟子よ! カレーの力で、人生の難題を乗り越えていくのよ!」

 麗華は、張り切って拳を突き上げる。

 

「先生、弟子になった覚えはありませんけど……。でも、カレーの力、信じてみます」

 宮藤さんは、呆れつつも微笑む。

 

「ふふ、冗談よ。でも、カレーに限らず、自分なりの楽しみを見つけることは大事よね。人生に絶対はないからこそ、小さな喜びを大切にしないとね」

 麗華は、にこやかに言う。

 

「先生の言う通りですね。不確かな人生だからこそ、今を精一杯楽しむことが大切なんですね」

 宮藤さんは、納得の表情を浮かべる。

 

「そういうこと。人生に正解はないけど、自分なりの答えを見つけて、それを楽しむことが大事なのよ。だって、それが人生を謳歌することになるんだから」

 麗華は、人生の先輩らしく語る。

 

「先生、今日は本当に素敵な話が聞けました。人生観が変わりそうです」

 宮藤さんは、心から感謝の言葉を述べる。

 

「うふふ、私の話がお役に立てたなら嬉しいわ。でも、私だって人生のことはよくわからないのよ。ただ、患者さんと向き合ううちに、ちょっとずつ見えてきたことがあるのよね。生きるってこういうことなのかもって」

 麗華は、謙虚に言う。

 

「先生の謙虚さ、尊敬します。でも、先生の人生観はすごく魅力的ですよ」

 宮藤さんは、真摯な眼差しで言う。

 

「ありがとう、宮藤さん。でも、所詮は私なりの答えでしかないのよ。宮藤さんには、宮藤さんの答えがあるはずよ」

 麗華は、優しく微笑む。

 

「はい、自分なりの答えを見つけていきたいと思います。先生との対話が、きっと答えへの一歩になると信じています」

 宮藤さんは、希望に満ちた表情で言う。

 

「ええ、きっとそうよ。だって、人生の答えは一人で見つけるものじゃないもの。誰かと語り合うことで、新しい発見があるはずよ」

 麗華は、確信を持って言う。

 

「先生、これからもよろしくお願いします。一緒に人生について語り合いましょう」

 宮藤さんは、麗華に向かって手を差し出す。

 

「ええ、喜んで。私も宮藤さんとの対話を楽しみにしているわ。そして、いつか二人で『人生に絶対はない。だからこそ面白い』という本を出版しましょう」

 麗華は、宮藤さんの手を握り返す。

 

「出版、ですか。先生の壮大な夢に付き合わされそうで怖いですけど……でも、楽しそうですね」

 宮藤さんは、笑みを浮かべる。

 

「そうよ、夢は大きく持たないとね。だって、人生に絶対はないんだから、夢だって自由に描けるのよ」

 麗華は、きらきらとした瞳で語る。

 

「先生の夢、応援します。私も負けないように、自分の夢を追いかけていきます」

 宮藤さんは、力強く宣言する。

 

「ええ、お互い頑張りましょう。人生に絶対はないけど、夢を追うことは絶対よ!」

 麗華は、宮藤さんと固く握手を交わす。

 

 人生に絶対はない。だからこそ、自分なりの答えを見つける面白さがある。麗華はそう信じていた。確かなことなんて何一つないけれど、だからこそ人生は自由で豊かなのだ。

 

 麗華は、これからも患者さんと向き合い、人生について語り合うことで、自分なりの答えを探し続けるのだろう。それが彼女の生きる道だった。

 

「さあ、人生の冒険に出発よ! 目指すは、絶対なき世界!」

 麗華は、希望に満ちた眼差しで、新たな一歩を踏み出すのだった。

 

(物語はここで終わり、新たな旅が始まる)

 

 麗華の独白。


 (心の中で)人生に絶対はない。でも、だからこそ人生は面白い。わからないことだらけの中で、自分なりの答えを見つけていく。それが生きるということなのかもしれない。

 まあ、所詮は私なりの考えでしかないけれど、それでいいのよ。私らしく、自分の言葉で語り続けることが大事なんだから。

 

 そう、人生に絶対の答えはないけれど、自分なりの答えを見つける喜びはある。麗華は、そんな人生の面白さを噛みしめながら、これからも歩んでいくのだろう。

 

 時には迷うこともあるかもしれない。でも、そんな時は『ある女性精神科医の人生考察』を思い出せばいい。きっと、自分なりの答えへの道しるべになるはずだ。

 

 麗華の探究の日々は、まだまだ続いていく。でも、彼女はもう怖くはない。だって、人生に絶対はないことを知っているから。そう、不確かだからこそ、自由に生きられるのだ。

 

「人生に絶対はない。だからこそ面白い。そう思える人生を、私は歩んでいきたいの」

 

 麗華は、そんな思いを胸に、新たな一日の始まりを告げるのだった。

 これは、ある女性精神科医の、終わりなき人生の物語――。

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ある女性精神科医の人生考察~まあ、そんな大したことじゃないけどね★~ 藍埜佑(あいのたすく) @shirosagi_kurousagi

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