第17話 【19層】朝練!

『カズサ、まさかもう学校行ってないよね?』


『よくわかったな。今朝練をしてるところだ』


『へー、万年サボり魔のカズサが朝練とは感心感心……? ちょっと待って、帰宅部の朝練なんて私聞いたことないんだけど!』


 どうやらアマネが家まで呼びに来ていたらしくメッセージが届いていた。

 現在時刻は朝7時30分。

 俺はその1時間半前からダンジョンの18階と19階を往復し続けている。

 それはもちろんGPのためであり、やりきらないと気が済まないのもあって目が覚めてしまったのだ。


『ご主人サマ、あと1往復で目標額だよ! ふぁいおー!』


『カウントありがとな。さーて、いっちょ仕上げに入るか!』


 フェア子のサポートもあって無事8000GPを貯めきり例の店へ急ぐ。

 この瞬間は何度迎えてもわくわくし、忘れがちな初心を思い出させてくれていいな。


「おいおやじ、あの武器をくれ!」


「これはこれは少~っ年。当店初のお客である君の頑張りを称えて、これもおまけしようではないで~すか!」


――アイテム獲得――

煙幕:周囲の視界を5秒間奪う


――アイテム獲得――

SR【極意の短剣】:防御力は下がるがクリティカルダメージがアップする双剣


 煙幕は死神のような格上への緊急回避に使えるだろう。

 ついに成し遂げた俺が、このあとの授業を全部夢の中で過ごしたのは言うまでもない。


「登録者数が5万人を越えました~! 本当皆のおかげだよ。今後もダンばかをよろしくお願いね!」


 今日も元気よくアマネの掛け声から配信が始まった。

 新しい武器にもなったことだし、早速試し斬りするのにちょうどいい相手が欲しいところだ。

 そう意気込んでいるとちょうどよくモンスターの影が近づいてきた。

 スプリングタートルLv19が3体という、びよんびよんと跳ねる奇怪な亀の集団だ。

 そういえば一度に複数体は初めてだな。


スキル:ミラージュダンスLv1

>>双剣で乱舞する。クリティカル補正あり。消費MP15、再使用5秒

対象>>スプリングタートルLv19


 手始めに1体目を全弾クリティカルで粉砕しそのまま光にする。

 2体目はフェア子とともに乱舞し、残りを再度ミラージュで締めた。


――スキルレベルアップ――

ミラージュダンスLv1→Lv2

双剣で乱舞する。クリティカル補正あり。消費MP15→20、再使用5秒


 ここでレベルアップか。

 消費は高くなってしまったがその分威力が上がるはずだ。MP自体100を越えてきたことだしなんとかなるだろう。


「おいルーナ?」


「……」


「どうした?」


「あ、いえなんでも」


 この階に来てからルーナはこんな感じでどこか様子がおかしい。

 よく話すはずのアマネに対してもそれは変わらず、ただ笑顔を浮かべるだけで言葉を発することが極端に少ない。


「さーて、来週のカズサさんはー?」


「カズサ、罠に引っ掛かる。カズサ、罠に引っ掛かる。カズサ、罠に引っ掛かる。の3本でお送りいたします」


「カズサはどれだけ罠に好かれてるんだろうねー。さてさて、来週と言わず毎日見てくれるかな?」


「一日おきくらいならなんとか……」


 と思えばアマネとのツッコミ不在のコンビネーションは健在だし、攻略には相変わらず協力的だ。

 ひとまずは向こうが話す気になるのを待ってみよう。


「そういえばお前、レベル1のままだよな」


「うん。そうだけどなにか問題あったり?」


「俺だったら気になってレベル上げしたくなるからさ」


「まあ私、カズサみたいにゲームとかよくわかってないしねー」


 なんてアマネと話しつつ階段を上がる。

 さて次は20階。10階からの流れでいくとボスのお出ましということになるな。


「カズサさん、アマネさん。この階を終えたらしなければならない大事なお話があります」


 ルーナはこれまでにないくらい、真剣な表情をしていた。


【ステータス】

カズサ:レベル20(↑1)

称号:10層の支配者

クラス:アサシン

HP:192(↑10)

MP:100(↑6)

STR:110(↑6)

AGI:18

INT:2

LUK:1

スキル:バスタースイングLv1

ステップカウンターLv1

ハイドLv1

ミラージュダンスLv2

バーンナウトLv1

回復アイテム:グリーンポット10


【装備】

頭:

右手:SR【極意の短剣】

左手:SR【極意の短剣】

胴:SR【アサシンクロース】

足:R【ウイングブーツ】

アクセサリー1:SR【フェザーマント】

アクセサリー2:SR【祈念のタリスマン】

使い魔:SSR【タイニィフェアリー】



****


作者より

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