第4話
何とか仕事を終えることができた。今日はとにかく疲れていた。早く家に帰りたい。そう思いつつ私は足早にオフィスを後にする。
と、高瀬君が息を切らせて走っているのが見えた。あれから何だか気まずくて思わず目を反らす。すると、彼が私の目の前に来てガバっと頭を下げた。突然のことにびっくりしている私に向かって「すいません」と大きな声を上げた。
嫌だ。嫌だ。もう、私と関わらないでほしい。仕事終わり、プライベートな時間にまで付き合わされるのはごめんだ。
私は高瀬君を無視して足早に立ち去ろうとした。でも、なかなか諦めてくれず耳元でしきりに何かを叫んでいる。これでは私が悪者みたいではないか。そもそもエントランスなんかでそんな大きな声を出さないでほしい。ほら、お局様が凄い顔で私を睨んでいるじゃない。
「謝り続ける青年と、それを無視する女」という図式が完全に出来上がってしまった。すっかりパニックになった私は何も言い返すことができずに、その場で立ち尽くすしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます