魔法使いと能力者。

夢時間

魔法の使えない魔法使いと能力の使えない能力者。

プロローグ

「んーと……、この辺、だよね。異世界に行ける、っていうのは」

私の名前はサナア。

私が今いる世界は、能力が栄えた時代だった。

私には、持っている能力がある。

その名も『念動力《サイキック》』。

といっても、別に珍しい能力ではなく、とりわけ、過去に1.100人も例がある。

しかも、私には障害がある。

この世界、能力が主とされているが、この世界の人間には、ある機能が追加されている。

それは、能力の出所、『起源アーツ』と呼ばれているものだ。

それは脳の内部にあり、能力が強いほど、起源アーツの大きさに比例する。

「なのに、なぁんで私は起源アーツの大きさが小さすぎるのかなぁ?!」

そう。

私は、起源アーツが小さすぎて、本来なら最低でも5分はもてる物でも、5秒ほどしかもてないような、『能力欠損症』という障害があるのだ。

「……クラウンお兄ちゃんなら……。」

クラウン、というのは、私のお兄ちゃんのことだ。

クラウンは、〔氷の茨の王〕という二つ名を持っており、能力は前例のない『氷結』で、

見た目はイケメン。薄い水色の髪の毛に、翡翠色の目。

その時。

「サナアちゃん」

と。

親友の、ねっとりと絡みつくような声がした。

だが、もちろんこの部屋にはサナア以外誰一人としていない。

だが、親友が、謎のもやの中にいたのだ。

紫がかった黒色の髪に、2つのお団子。

親友の後ろ姿が見えて。

「クロルッッッッ!そこでなにしてるの?!」

気付かなかった。無意識のうちに、もやの中に足を進めていたことに。

「ううん」

ゆっくりと親友のクロルが振り返る。

その群青色の瞳が見える前に。

「本当にサナアちゃんが探したいのは______」

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魔法使いと能力者。 夢時間 @nekokurage0

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