『裏声』

ヒニヨル

裏声

自分の好きなところを

順番に挙げた後

自分の嫌いなところを

同じ数だけ挙げていく


人に褒められたところを

喜びながら

人に否定されたところが

脳裏を掠めていく


心地の良い場所に

酔いしれながら

私は

このままではいけないと

自分に言い聞かせている


私の声にも耳にも

目にも心にも

いつも反対が潜んでいる


結局

誰の言葉も信用が出来なくて

自分さえ

疑わしい

良心のかけらもない

生き物だと思っている


そう

開き直って

呼吸を整えると

ただその瞬間だけ

あるものを信じて

生きていける

ような気がする。



   Fin.





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『裏声』 ヒニヨル @hiniyoru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ