どこよりも深い場所で、自分の所在を見つめる

詩的で心に残る一文目から、作品の持つ空気感にぐっと惹き込まれました。
心の機微の切実な表現、巧みな描写力や文章力には舌を巻きます。

答えの出ない問いを巡らせてしまうような、孤独に似た心情の解像度の高さには感服しました。

「髪を切る」という何かと決別するかのような行為、それによって揺れ動く心情、自分を静かに見つめる姿が文学的で美しいと感じました。


どこまでも深く、確かな質量のあるこの小説に、少しでも多くの人に出会ってほしいです。