おいしいディナー

脳幹 まこと

ぶっ飛んでいる奥さんと更にぶっ飛んだ旦那さん


「ごちそうさま!」


 満面の笑みで手を合わせたのは旦那のハヤトさん。いつも私の作った料理をおいしそうに食べてくれる。


「どうだった?」

「美味しかったよ!! ユウカの作る料理は何でも絶品だなぁ!!!」


 そりゃあ、愛情をこめているからね。

 ハヤトさんは子供のように純粋な顔で感想を言ってくれる。


「とろけるようなお肉も、コリコリした軟骨も、とろみのあるスープも全部美味しかった!!!! ユウカと出会うまで、こんなに美味しい料理はなかったよ!!!!!」


 そうなんだ。作り甲斐があるね。

 私はうっとりする。


「でも、こんなに美味しい料理となったら、素材もきっと高いんだろう?????? 僕の安月給じゃとても出せないのに、どうやって???????」


 知る必要はない、と思ったけど。

 ちょっと、からかってもいいかも。


「それはねえ、あなたにすり寄る女の子たちを使ってるからよ。だから、原価はタダなの」

「そうなんだあ!!!!!!!! 女の子ってとっても美味しいんだねえ!!!!!!!!!」


 これは意外な展開だ。

 ハヤトさんはワイングラスに入った赤黒い液体――私の血液をさも愛おしそうに飲んでいる。


「ユウカと一緒に居られるなんてサイッコー!!!!!!!!!! 感動してきちゃったよぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」


 檻の中のハヤトさんは、身体をガクガク震わせながらうれし泣きをする。


 自分より壊れてる人、初めて見たかもしれない。



 ……好きぃ。

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