言語化できない

自主企画「文学でぶん殴る 文学バトル」というものを私がやっており、そちらにお寄せ頂いた作品。本当にぶん殴られた。

レビューするからには言語化することを信条にしてきたのだけど言語化がめちゃくちゃ難しい作品。でも絶対にレビューしたい作品だった。口語で書かれた文体で、太陽がなくなるというSFスペクタクルイベントが淡々とした日常として過ぎていく。

最後の「真っ白い朝がきた」が非常に厄介な表現。私は物語の序盤から「人口太陽は可能」という嘘を世界的につくことで死へ向かう人々の狂乱を回避して、「3年間の日常的終焉を向かえる」という筋の話なのかな?と思っていた。最後まで読んでみるとどちらともとれた。結構読み返したのだけどどちらともとれる。決定的な文言はあえてないように思う。

でそこまで考えた時にどっちでもいいかなと感じた。当然にあるものがなくなることを日常の中でニュースを通して平凡に受け取りでも心の中で感謝すること。情報との距離感、ものごとのサイズ感、それがこの物語のおもしろさであって核なのだと思う。

「太陽が消えるという出来事の大きさ」と「主人公が送る小さな日常と感謝」のサイズ感の対比がよい。でも私にはここより深いところを言語化してレビューする感性がない。だけどもやもやとこの作品の良さは感じている。自分が小さいことを知りました。たくさんの人に読んでほしい作品。

ぽんぽん丸さんの他のおすすめレビュー32