するりと読めて、じわりと沁みる怖さ

 冒頭からするっと作品に入り込めるのに「その一文」でちゃんと引っ掛かるようになっていて、登場人物と同じ違和感を覚えながらも彼女の語りから離れることができません。

 ああまずい、これはまずいやつだと思っていても、するする読める文章に引っ張られてきちんと最後まで読んでしまいます。こんなに怖いのにね。

 丁寧な描写が丁寧に怖さをかきたててくれる、おすすめの短編ホラーです。


 まあ、怖い小説は、怖くても最後には現実にちゃんと戻れるからたぶん大丈夫。



 ところで、さっきこれを読んでから妙に左手が、痒いんですけど……。