優しいおばあちゃんとロールケーキ
黒猫
昔々の物語ちいちゃんのロールケーキ
昭和の時代、ちいちゃんは小学1年生。学校から帰ると、彼女はいつも同級生の家へ遊びに行くのが楽しみだった。特に克也くんの家にはよく足を運んだ。約束もせず、ふらっと暇な時に訪れるのが常だった。克也くんが家にいないことは分かっていたが、それでもちいちゃんは懲りずに足を運んだ。なぜなら、そこには優しい克也くんのおばあちゃんとお姉ちゃんが待っていたからだ。
「か〜つやく〜ん、あ〜そ〜ぼ!」と、いつものように声をかけると、おばあちゃんが出てきた。
「あらあら、克也はさっき遊びに行っちゃってね。せっかく来たから上がっていきなさい」
「は〜い!」と答え、ちいちゃんは炬燵に入り、おばあちゃんと一緒にテレビを見ることにした。
そのとき、おばあちゃんが一切れのロールケーキをお皿にのせてちいちゃんの前に置いてくれた。
「あっ、これ克也のだけど食べんしゃい」
ちいちゃんの家では、ケーキなんて年に一度のクリスマスくらいしか見たことがない。おやつ自体がめったに出ない家で育ったちいちゃんにとって、こんな豪華なおやつは初めてのことだった。
「はーい!」と目を輝かせ、ちいちゃんはその一切れのロールケーキを幸せそうに食べた。
今になって思うと、克也くんはあの日、おやつ抜きになったのだろうと少しだけ悪いことをしたと感じるちいちゃん。でも、その時のおばあちゃんと過ごした温かな時間と、美味しいロールケーキの味は、今でもちいちゃんの心に鮮明に残っている。
優しいおばあちゃんとロールケーキ 黒猫 @tanokuro24
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