第4話 最高戦力である二人
魔物の外見は、ゴジラを小さくしたような外見だ。ゴジラとは3✕✕年前に人気だった映画で、DVDと呼ばれる映像記録円盤を保存している人がいたため、現代にも残っている。数年前には劇場公開もされていたけど、俺は看板を見ただけで内容は知らない。
俺は、そんな魔物に銃弾を浴びせながらどう勝つかを考える。
これといった弱点は今のところ見つからない。
魔力感知を使用してみたが、俺の『精霊之子』の魔力感知ではどこが弱点か分からなかった。
面倒だが、地道に探すしかないか......
弱点を見定めるため、魔物の攻撃を避けながら銃弾を撃ち込み続ける。
しかしこれといった急所は見つからず、俺の魔力だけが減っていく。
なら自力で倒すことは諦めて、あいつに任せよう。さっきから魔力を練っているみたいだし。練り終わるまで少し時間が必要っぽいが……なんとかなるだろ。
俺が方針を時間稼ぎに変更した時、魔物の周囲に8個程の高密度の魔力弾ができる。
避けないとマズそうだ。
俺は魔力弾が放たれるタイミングで避けるべく走る。が、8個の魔力弾の内2個が白銀に向かう。
「白銀!」
俺は向きを変え、白銀に向かって走る。
『大地之精霊』を発動して、白銀の前に岩壁を生成する。かなりの強度で作ったが、恐らく少しの時間稼ぎにしかならない。
――『武器創造』と『大地之精霊』を同時発動。
『大地之精霊』により4人程の土人形を造り、『武器創造』でロケットランチャーを持たせ、魔力弾を狙わせる。
魔力消費が激しいため、本来ならば使いたくない技だ。
土人形4人には、一つの魔力弾に一斉放火させる。
ドガァン
魔力弾を1つ破壊することに成功。そしてもう片方の魔力弾は―――
『武器創造』―――全開放
『
体内の魔力を全て使用し、俺と白銀の周囲にコロニーを創る。このコロニーは核爆発にも耐えられる強度を誇る。
魔力弾を完全に防いだ俺には、魔力欠乏で目眩と吐き気と頭痛が襲ってくる。
「白銀、今だ」
俺は、ぐわんぐわんする頭でどうにか身体に命令し、俺が避難させてからずっと大量の魔力を練っている白銀に声をかける。
「分かってる」
俺が必死に発した言葉に対する、あまりにも簡素な返しを聞くと、俺の意識は暗転した。
♢♢♢♢♢♢♢白銀レイ視点♢♢♢♢♢♢♢
『大精霊』―――全開放
体内の魔力を全て消費して私が放てる最強の攻撃を放つ。
『大自然之天罰Ⅲ』
『大精霊』の全開放は、多属性の大魔法を、できる限りの魔力を使用し、発動するというもの。
通常であれば、大魔法を同時に発動したことによる情報過多で脳が焼き切れてしまう量の情報を、簡単に処理できるようになる――つまり脳の容量の一時的な拡張だ。
欠点としては魔力が強制的に残り1%まで吸い尽くされることくらいだ。
つまり、一撃必殺に長けている。
今のわたしでは、奥義の同時操作は3属性が限界だ。わたしが選んだのは、水、雷、地の3属性。
水属性で水の牢に閉じ込め、雷属性で感電させる。そして地属性で生成した鉄の刃で魔物に切り傷を付けて雷撃を体内にも流し込む。
魔物は絶叫しているようだが、水牢に捕らわれているため、こちらにはあまり聞こえない。
あとは時間との勝負だ。わたしの魔力が切れるのが先か、相手が倒れるのが先か。
―――さあ、楽しもうじゃないか。
わたしは組織に与えられた唯一の娯楽である戦闘を楽しむことにした。
♢♢♢
数分が経過した。
そして―――やっと魔物が消滅する。
我慢比べはわたしの勝ちだ。
わたしは、魔物が消滅したことによって発生した大量の魔力を、残った1%の魔力を使用して吸収する。普段は役に立たない『譲渡』も使いよう。
わたしだけでは吸いきれなかったので、魔力がすっからかんな彼にも分けてあげた。わたしの異能『譲渡』を使用すれば魔力を分け与えるなど造作もない。やったことはなかったけど。―――因みに2人でも入りきらなかった。
取り敢えず、わたしは彼を背負いながら安全なところまで移動することにした。
「いたっ」
足を怪我してるの忘れてた。容体は......仕方ない。ここで彼が起きるのを待とう。
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ライバル組織の最強異能力者2人は任務で同棲する 竹垂雫 @sizukuhakidukuyo
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