第47話 エピローグ

[二十五年後 エルシア]


 母親が寝かしつけ前の昔話をした翌日の夜。またこの日も月がくっきり見える晴れた夜であった。ベッドにいるアフロディーテがアテナをせかす。


「お母さん、昨日の続きお願い。三人の神様の話」

「いいわよー。三人はね、他の先輩神様に手伝ってもらいながら、このエルシアを魔物や災害から守り始めたのよ。あなたが生まれる前からね。あ、それから子猫ちゃんも一匹手伝ってくれたわ」


「へー、子猫も?」

「そうよ。可愛くて強ーい子猫よ」

「私、見てみたいなー」

「そうよねえ。えーと、実は見れるのよ、今もいるから」


「本当に?」

「ええ、猫だけじゃなくて神様達もね」

「見たい、見たい」

「いつか、来てもらいましょう。見せてあげるわ。神様達はね、今も私達を助けてくれていて、五千年先までがんばってくれるのよ」


「えー、五千年も? 長生きなの?」

「神様だからね。でもその後は普通の人に交じって生活したりしてるのよ。あなたの近くにもいたりして」

「えっ、近くに?」


「アフロディーテも大きくなったら守りの神様やってみる? 素質あるわよ」

「いやー、それはちょっと」


「そうよね。冗談よ」

「ねえ、お母さん。明日またノヴァお姉ちゃんのところに遊びに行っていい? カイとも会いたい」


「いいわよ。好きなの?」

「うん。ノヴァはすごくやさしいし、二人ともいっぱい遊んでくれるから」

「わかった。お父さんに連れて行ってもらいましょう」


 アテナは部屋の外に向かって少し叫んだ。


「マーク! 明日暇ある?」


 マークが部屋にやってきた。


「明日この子をノヴァのところに連れて行ってくれる? 連絡しておくから」


 マークが言った。


「アフロディーテ、また、行くのか?」

「うん、いいでしょ」

「もちろん。彼女の言う事を良く聞くんだぞ。怒らせると怖いからな」


 アテナがぴしゃり。


「余計な事は言わないで」


 アフロディーテが言う。


「ノヴァお姉ちゃんは全然怖くないよ。あんな優しい人はいないよ」


 マークはあごをさすった。


「そうか。変われば変わるもんだな。ルカとミアはどうしているかな」

「今度みんなに会いに行きましょうか。TJにお願いして」

「そうだな。WCAの連中にも会いたいしな」

「私も行く」アフロディーテが言った。

「みんなで行きましょう。遠出になるわよ」


 エルシア住民となったティナとマークは平穏に暮らしている。


 そしてガーディアンとしてのティナとマークは今も活動している。そしてルカとミア、アイリスも。5人に会いに行くのが楽しみだ。



 明るく輝く月が、虫の声が続くブルーワールドのエルシアを照らし続けた。




  ―― 了 ――


 (ブルーワールド: 2024.8.28 三杉 令)

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ブルーワールド ~見習いガーディアンは訓練を重ねてエルシアを救いに行く~ 🦞三杉令 @misugi2023

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