第20話
【蜜柑side】
僕は忍びの家系の末裔。
天川家、というまあまあ有名なおうち。
有名っていっても、表の世界じゃなくて…んー。忍びとか、祓い屋とかの世界ね。
まあ、久遠家や小野寺家には敵わないけどね。
そうそう、小野寺家といえば。
小野寺家の長女で、一年生の桃ちゃんと友達になることができたんだあ!
めちゃくちゃかっこいいし、強い!!
なんか特別な訓練とかしてるのかな?と思って、桃ちゃんにきいてみたら…。
「んん…。特にはしてないけど、実戦はよくしてるよ?」
いやぁ…びっくりだよね…。
年下で、あんなにかわいい女の子が…。
実戦経験が僕らより多いなんて。戦うのって、結構怖いんだよ?それなのに…!!
ほんとに尊敬しちゃう。
ねえ、杏くん。
桃ちゃんがいるなら、人型を倒すのも夢じゃなくなるよね?
【蜜柑side 終】
【李人side】
小野寺桃って、何者なんだろう。
いつも成績トップで、その割には運動神経がよくて、祓い屋としての才能がある。
すべてにおいて優秀である、そんな存在が俺は本当に嫌いだった。
和泉家の人間として、俺はトップでいなきゃいけないのに。
なのに……
中学校の時から3位どまりだった。
黒川萄馬、そして小野寺桃、という完璧がいたせいで。
二人とも同業者だということは知ってたから、焦りと周りからのプレッシャーがさらにしんどかった。
『和泉家は先祖代々続く、由緒正しい祓い屋の家なのよ?なんでトップになれないの?』
わかってるよ、お母様。
『これだからお前は…すこしは兄を見習え、出来損ないが。』
お父様、わかってるから。
重なる両親からの軽蔑。
兄と比べられる日々。
これに関しては、もう慣れている。
口答えする権利なんてないし、しようとも思っていない。
『こんな家、もう出ていこう。俺はもう嫌だよ、お前があんな扱い受けるのは』
あんたは、なんでそんなこと言うんだよ。
お兄ちゃんと呼んだことのない、実の兄は何に関しても完璧で、両親からの期待も大きい。あんたは何不自由ない生活だろ?
なんでわざわざ家を出ようとするんだ。
完璧人間なのに、何かに対して不満があるやつが嫌いだ。
小野寺桃も具体的には知らないけど能力に不満があるときいてふざけるな、と思った。
能力が無くて苦労しているこっちの気も知らないで…
なんて考える、自分も嫌いだった。
【李人side 終】
檸檬学園★高等部 竹串シュリンプ @fuyuchan
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