Sacrifice

大隅 スミヲ

第1話

 エッセイというのは、自己犠牲である。

 己のプライベートの一部を公開し、それで読者から共感を得たり、笑ってもらったり、時には一緒に怒ってもらったりするものだ。ノンフィクション。そういってしまうとお硬いイメージとなってしまうが、エッセイもノンフィクションであることには違いない。


 エッセイの定義では、自分の体験したこと以外でも、人から聞いた話というものもエッセイに含まれるそうだ。


 難しいことはよくわからないが、まあ自分の失敗談などを人に笑い飛ばしてもらえれば、幸せじゃないか。

 少なくとも私はエッセイというものをそう捉えている。


 昨日会社でこんな失敗しちゃってさ。

 それだけでもネタとなるのだ。


 また、知り合いに対して面と向かって話すとドン引きされてしまうような話でもエッセイとして書くと何となく許されてしまうから不思議だ。

 読むのは不特定多数の自分の顔も知らない人。それなのに、一緒に笑ってくれて、時には悲しんでくれたりする。


 AIが小説を書いたりする時代となったが、AIにはエッセイは書けないだろう。書けるとしても、誰かから聞いた話として書くしか無いのだ。


 極端な話ではあるが、40過ぎたオッサンがう○こを漏らしてしまった話とか、AIには絶対に書けない。酒で失敗した話や、失恋した話などもAIには書くことができない。

 人類がAIに勝つにはエッセイが必要なのだ。


 なにはともあれ、エッセイは自己犠牲の上に成り立っていて、そのエッセイがおもしろい人は大抵小説を書いても面白いということである。


 何が書きたいかわからなくなってきたところで、この話は終わろう。

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Sacrifice 大隅 スミヲ @smee

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