永久収録版
愛工田 伊名電
「そこで、僕は見ちゃったんですよ…」
「見ちゃったって…まさか!」
「ええ、竹でできた蒸し器のなか、汗でビショビショになった艶やかなシワをこれ見よがしに上下運動する2つの肉まんを…」
「ってそれ『肉まんの交尾』じゃねえか!!」
「うはははは…」「あはははは…」
「ああ〜っ、最ッ高!」
「最高のオチかもしれないですね。」
「これ以上ないよ。マジで」
「じゃあ、ということで!」
「「さよ〜なら〜!!」」
《ゴ清聴、アリガトウゴザイマシタ。》
「んふふふふ…」
「へへへ…あ〜面白かった。何時間録ったっけ?」
「録音し出したのが20時なんで…」
「「4時間?」」
「『肉まんの生態を探ろう!』の話題で4時間!?」
「肉まんの研究者じゃん。」
「オレ、コレを30分に縮めなきゃいけないんだよ?」
「ムズいな〜。8分の1にしなきゃなんですもんね。」
「4時間、全部面白いからなぁ。」
「ま、こういう時こそコーヒーですよ。」
「だね、オレはエスプレッソ。」
「私はカフェオレかな。」
パンポーン
《ゴ注文ヲオウカガイイタシマス。》
「えー、エスプレッソと、カフェオレ下さ〜い。」
《確認シマス。 エスプレッソガ1杯、カフェオレガ1杯。 デスネ?》
「お願いしまーす。」
ウィー…
「毎回どこ行くんでしょうかね、あの子」
「いつの間にか消えてるし…まあ、巣なんじゃない?」
「『配給猫耳メカの生態を探ろう!』やる?」
「うはははは…」「あはははは…」
「この部屋に居たことある人限定の話題」
「ウケないだろうね。」
「そういや、あと何年ぐらいこの部屋に居なきゃなんですっけ?」
「大体…もう42万年くらいじゃなかった?」
「え、もう50万年過ぎちゃいました!?」
「ぐらい過ぎちゃったと思うよ… え、やっぱ家族恋しい?」
「そりゃそうでしょ、50万年会ってないんだから」
「50万年はデカいよね〜… その点、オレは、ほら。 彼女とか作ってないから寂しくない」
「妻子持ちの人間によくそれで対抗できると思いましたね。」
「できねぇか、流石に!」
「でも、友達結構多かったですよね?」
「会社の人は大体友達だね。」
「え、『東京生まれHIPHOP育ち』?」
「♪会社の人は大体友達♪」
「真面目なdragon ashじゃないですか!」
「うはははは…」「あはははは…」
「まぁ、42万年であれ、42億年であれ、私は全然この部屋居れちゃいますね。」
「オレも〜。 ここ快適すぎるわ、マジで」
「高水準な衣食住、全部揃ってますもんね。」
「オレの部屋の机にさぁ、吹き矢置いてあって、天井にダンボール貼ってあんの『オレのこと分かってるな〜』ってなったね」
「こりゃ相当なファンですよね… 私のデスク周りも完全に再現されてましたし。」
「あと、欲しいもん注文したら大抵来ますよね」
「マ〜ジでありがたいよ、今までに手が出せなかった商品、全部試せちゃうもん。」
「私、この部屋出たあとバルミューダの家電一式買うつもりですよ」
「うはははは… 知っちゃったんだ、『味』を」
「禁断の果実をドカ食いしちゃってますね」
…ーィウ パンポーン
《ゴ注文ノ エスプレッソ1杯、カフェオレ1杯デス。》
「あ、あざ〜っす。」
《以上デヨロシカッタデショウカ?》
「あ、角煮ください」 「ぷっ…くくく」
《確認シマス。角煮ガ1点、デスネ?》
「お願いしま〜す。」
ウィー…
「お前、ホント角煮好きだな!」
「最近あんまり食べてないな〜、と思って」
「いいけどさ〜…」
「ここのさぁ、『肉まんショップに売ってそうなおもちゃ』のとこって入れる?」
「あ〜!『猫じゃらしの先に透明のゴム手袋がついてるヤツ』の所ですか?」
「そうそうそう! うはははは…」
「あはははは… あそこは絶対入れなきゃですよ!」
「うはは…了解了解。ここは残すわ」
…ーィウ パンポーン
《ゴ注文ノ 角煮1点デス。》
「ありがとうございま〜す」
《以上デヨロシカッタデショウカ?》
「はーい」
《ゴユックリ。》
永久収録版 愛工田 伊名電 @haiporoo0813
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