第5話 世渡りの力!!……ってえ?
まさにこの世は異能ブーム!
普通とは違う力を持って目的を果たす!目的、それはなんでもいい!下克上?復讐?転生?未来予知?
その異能の力を使ってよりよい未来を目指すのだ────!
そのような力が僕にあると?!
一般家庭だよ?!ファンタジー色濃い世界でもなんでもない世界だよ?!
あ!神の思し召しとか?!チミはよくやってるよのノリで?!いやぁ太っ腹!すごい!
「何を考えているのかはお見通しですがそのようになるのは一握りだけです」
「アッハイ…」
心で考えていたことを言い当てられた。年は言ってないが異能と聞いたらそれしかないので先回りされたのか。
「そして一握りが虚クンだったり?」
「え、そうなんですか?!」
まあ確かに顔面良し、スタイル良し、物腰良し、主人公とするには結構いいと思う。
そういう力を持っているという事は先輩…にあたるんだろうか?
「余計な事を吹き込まないでください。死人に口なしと言うでしょう、私はただ教えるだけです。」
それは口ありでは
「……世渡りとは世界と世界を渡る力のことです」
「アッハイ」
解説、つまり授業。
背筋を伸ばして真剣に聞き入る。よく異能の力が暴走して…の展開とかあるかもしれないし。
「世界と世界を渡る。それ以外何の効果も持ちません。」
……強いの、ソレ
「勿論戦闘なんて出来ません。使いこなせれば逃げに徹した力とも言えるでしょうがそこまで辿り着くには数百年の修練が必要です」
世界と世界を渡り歩くんだから他の世界に逃げて難を逃れることは出来るってことか。…ん?世界と世界…?
「…世界に関してはまた今度。…ここまで良いですか」
「アッハイ」
一瞥した後また続ける。…その青い瞳にも何らかの力があるんだろうか。
「世渡りの力は遺伝で発現します。むしろそれ以外で発現しているのは見た事がありません。…ぽっと出で世渡りの力持ちが現れて好き勝手されるのも困りますがね」
「遺伝…」
成程、だから親族について質問したのか。
となると母と父、どちらかが同じような力を持っていたのだろうか。
知らない一面というものを見てしまった気がする。
「世渡りは体そのものが移動する訳でなく、魂だけで移動します。体が傷ついても魂が傷ついていなければ無傷で移動し続けられます」
あ、怪我。足の怪我が治ってたのはそういう事か。…となるとこの人は魂を直接脳天チョップしたってことなんだが…それは、良いのか?
「気をつけて欲しいのは魂は無敵では無い。傷つきもしますし疲れます。なのでおいそれと使うのはよしたほうがいい。」
「ほえ……」
正直、あんまり理解は追いついてない。
分かっているのは世界と世界を渡れる力を持っていること、魂で渡るということ、頻繁に使用してはいけないっていうことだけ。
「…今はその3点を理解していれば問題ありません。」
ん?心読まれた?
「流石虚クン〜!解説が分かりやすいね。大先生?先生だね!」
「適当言うならぶん殴りますよ」
わちゃる2人を余所に考え込む。
世渡りの力…そんなものが血統にあるとは。…いやでも事故の衝撃でとかそういうのはよく聞く…設定だしそれか起きたんじゃないか…?
「……よく聞け
「はひっ?!」
考え込んでいたところに横から鋭く言われる。
これは、本来持っちゃいけないから今ここで殺すとか?監禁とか?声音が真剣なのでそんなこと言われても受け入れてしまいそうだ。
「お前はその世渡りの力を使って」
世界は救えませんよ。
「俺…つまりこの閻魔大王の遣いとなるがいい!」
…………?
「は?」
ドヤ顔の閻魔大王とは余所に疑問と冷たい空気が出来上がった。
マージナルマン〜死にかけたので閻魔大王の補佐になります〜 海原珊瑚 @october_unaharasango_rain
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