第4話 な、何故?!
入院と言ってもやることが無い。足を怪我してるのもあるだろうがおいそれと立ち歩けない。
松葉杖の扱いが慣れてないので極力歩きたくないのもある。
となると食べて、寝て…くらいしかない。
後日、母が来ることになっているのでその時にスマホとか持ってきてもらうのでその時までの辛抱。
寝るのも時間を考えなければいけない。暇だからと昼寝ばっかりしていると夜寝れなくなる。すると暇な夜になり、苦痛でしかない。
なので昼はちらちらと時計を見ては時間が経過するのを待っていた。
他の患者に話しかけるのは億劫だ。コミュ障陰キャ大学生を舐めるでない。
♦
「消灯時間なので消しますね。おやすみなさ〜い」
夜10時ピッタリに消灯。
まだ眠くないが暇なので寝るしかない。手元にスマホや本があったらまた違かったと思う。
「(PCとかで連絡とるしかないかなあ…文面ならやり取りできる……課題とかどうしよう……)」
これからの心配や計画を練っているうちにいつの間にか眠りについてしまったようだ。
♦
「────?」
ぅ?…遠く、から声……?
「生──る?」
え、何、もしかして、朝?
「───ら?」
待って今起きる。流石に病院で寝坊はちょっと恥ずかしいから。
直後、脳天に突き刺さる衝撃。頭が割れたんじゃないかと言う心配と痛みで飛び起きる。看護婦さんってこんな暴力的なのか?!
「おはようございます!!!」
「おはようございます。昨日ぶりですね」
「ふぇ?」
飛び起きた視界に映るのは見覚えのある顔。但し家族とか知り合いでなく、夢なのか異世界なのかはっきりしない所で会った人。
「えと…えと……虚、さん?」
「ご名答、また迷い込んだようで」
てことは、と恐る恐る見回すとやはり大きな閻魔大王…、と下に伸びてる人。
僕の下敷きになって目を回している。あと気も失ってる。
「あわ、あわ!!!!やば!!!!」
どこから落ちたのか、それとも尻もちをついただけなのか不明だが下敷きはタダでは済まないので慌てて退こうと立ち上がる。
「痛ッ────?!」
頭痛がして立ち上がれずに尻もちをつく。下から「グェッ」という声が漏れた。
生きてることは生きてるんだろうけど申し訳ない。本当に心の底から申し訳ない。
「ちょっとォ〜虚クン、人間に触れるのがとても久しぶりだからといって加減できてないんじゃなァ〜い?」
オカマ?オカマ口調なの?その図体で?多分閻魔とかそういう人でしょ?あんまよく分からないけど!
「そういう男らしいトコ、好k」
ゴッ!!!!という音をたてて裏拳をまともに顔面で受け取った。
扱い!!扱いが雑!!!あと女性のような顔でやることが暴力的…。
「立ち上がらない方が良いですよ。さっきチョップかましたので」
「え」
さっきの頭痛はそういうこと?足に留まらず、頭まで負傷────、あれ?
足が治って、る?
「名前を聞いてもいいでしょうか。確認したい事が幾つかあるので」
伸びてる人数が2人いるのに涼しい顔で質問…とは。大丈夫なの?放っておいて。
「え、えと…
「
親族…?
冠婚葬祭でしか会わないのであんまり記憶が無い。ただ従兄弟はいなかった気がする。
「えっと……従兄弟とかは居なくて…、それくらいしか…」
「……ふむ」
そう言うと無言で何かを考えているようでじっと見てきている。何を、考えてるんだろう。全てを見抜くような青色の瞳が怖い。
「ではもう一つ、貴方のその目は遺伝ですか?」
「目…?…そう、です…けど?」
父親は黒いシンプルな目だが母親が僕のように黄金と黒のオッドアイ。
今はまだしも、昔はオッドアイなんて異常そのものなのでそれなりに苦労した話は聞いている。
…何故遺伝かどうかを聞いてくるんだろう。
「その辺にしておいたら?虚、君の事と同義だ、既に答えには辿り着いてるんだろう?」
うんしょと言いながら起き上がり姿勢を正して大きな椅子──椅子というより玉座と喩ええ遜色ない──に座り直し、咎めた?
「悪い癖だよ虚、さっさと結論を述べてあげて。俺にもね考えがあるんだ」
考えって何…。何されるんですか僕。
「……聡真、率直に言います。
アレ?アレ呼びで良いんだアレ。
ちらっと見てもアレと呼ばれた当人は何も気にしていない。
「聡真、貴方には"世渡り"という力を持っています。平たく言えば世界と世界を渡る異能です。」
「な………」
なんだって────?!
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