恋してジュリエットくん!

蜂ノ巣雪丸

第1話 告白

 「ジュリエット! 好きだ!!」

「げっ!?」

 ヴェローナにて、僕、モンタギュー家のロミオはキャピュレット家のジュリエットに恋をした。一目惚れだった。

 「おいこらぁああ!! なんでモンタギュー家のやつがっ!?」

「お父様、落ち着いて」

 ジュリエットの姉、「ジュエリーナ」さん。彼女は自身の父親、「キャピュレット」さんを抑えていた。「あらあら」とジュリエットの母親「ジュエナ」さんは笑っていた。

 「ジュリエット、僕と結婚して欲しい」

「いやです。何故私です?」

「一目惚れしました!」

「無理です」

「チャンスを……!」

「すみませんが、帰ってください」

 振られた。ジュリエットは秒で結論を出していた。そんなぁ……。

 「貴方が私に恋をする意味がわかりません。私の家と貴方の家は対立しているのですよ? しかも私は男です。男が男に惚れたって……珍しいので信頼できません」

 そっぽを向くジュリエット……うん、かわいい。もうジュリエットの全てがかわいいと思って来てる頃で、どんどん好きになる。

 「やっぱ好きぃ〜〜!」

「話を聞いていましたか!?」

「聞いていたよ。でも、ジュリエットが好きな気持ちの方が勝っちゃって」

「理解ができませんっ!」

 そう言って少し頬を赤くしてるところも好きっ!

 「そもそもなんでモンタギュー家のやつがこの舞踏会にいるんですか!」

「あら、貴方、聞いてなかったのです? 一応モンタギュー家のロミオさんがどうしても来たいって言ったらしいのよ。だから来て良いことになっているのですよ」

「……つまりもいるのですか?」

「あいつって……モンタギューさんのこと?彼は来ていないみたいよ」

 ジュエナさんは少し肩を落として「折角ならアリアに会いたかったですわ」と僕の母さんのことを言った。

 「お父様、お母様。ジュリエットが今面白いことになっているみたいなので、止めるのを後にしません?」

「ええ、それは良いですわね!」

「いや、今すぐ止めた方がっ……」

「「だって面白いんですもの」」

 「ジュリエットやっぱり結婚してっ!」

「今日はもう断りましたよねっ!?」



 「今日もジュリエットに振られたぁ〜〜っ!」

「そうか」

「シオンってば、冷たい……」

 「マキューシオ」、彼は僕の親友! 名前が長いから「シオン」が渾名!

 名前長いって言ったら、僕のもう1人の親友の「ベンヴォーリオ」も名前が長いから「リオン」って呼んでる。

 「シオンは恋してないからわかんないんだ〜〜! 好きな人を持つこの気持ちをっ!」

「……俺も好きな人ならいるが」

「えっ! なにそれ! 初耳っ!」

「初めて言ったからな」

「これはこれは……シオンを惚れさせた人……凄い……」

「俺をなんだと思ってるんだ?」

「恋愛面に関しては一番ないなぁって」

「お前なぁ」



 「パリスっ!」

「どうしたの? さては、告られたみたいだね」

「う、うるさい」

「だったらそんなに、顔を赤くしない方がいいよ。だってわかりやすいし」

 パリスは読んでいた本を閉じ、私の方に顔を向けた。

 「親友からのアドバイスだよ。あと好きならそう言えば良いじゃないの?」

「好きじゃないしっ!? 私がロミオをっ!? ありえないっ!」

「あり得る、あり得る」

「あぁ〜〜相談する人間違えた気がする」

 頭を抑えるとパリスは読んでいた本を再び開き、「他に相談する人いないのに?」と笑った。ちょっとだけイラッとした。その通りだからだ。

 お母様とお姉様に相談したら絶対に「えぇ〜〜? 良いんじゃない? 私は全然2人を見ていたいんだよね」と言われる。お父様は……相談しようとも思わない。絶対に問題事を起こしそう……。

 「なんで私の周りはまともな人がいないんだ……」

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恋してジュリエットくん! 蜂ノ巣雪丸 @hatinosuyukimaru

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