弓道部に捧げた青春物語
@yuugumo
第1話:プロローグ
新学期、ピンク色に色付いていた桜が散り始めポツポツと葉桜が目立ち出したそんな季節
『あんな学校に行くなら親子の縁を切りますからね!』
きっと僕の夢を応援してくれると信じていた母からこの言葉を聞いたのも記憶に新しい。
「ダメだな、嫌なことは忘れよう」
まさか本当に家から追い出されるとは思っていなかったが、案外息子思いな母は、僕の進学する学校の最寄駅から4駅のところにあるマンションを借り、僕に与えてくれた。これが応援の気持ちなのか、ただただ野垂れ死なれると寝覚めが悪いからだけなのか、母の心理はわからないが感謝はしている。
なんといっても僕が憧れていた袴に身を包んで弓を持ち電車に乗れるのだから‼︎
は? 何言ってんだコイツと思われるかもしれない、しかし僕にとっては重要な問題なのだ。まず僕が弓道部に入りたいと思った理由は単純、小さい頃袴に身を包んだ高校生が弓と、矢を入れる筒、矢筒を持って電車に乗っていたのだ凛としたその姿に僕は心打たれた。
つまりだ、母がこの場所にマンションを借りてくれたのは、やはり母なりの優しさなのかもしれない。
まあ、とりあえずこの話は置いておくとしよう、あと数分で家を出ないと入学式に遅刻してしまう。
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家を出て徒歩2分の駅から電車に乗り数分、学校の最寄駅に到着する。ここから少々キツめの坂道を15分程度かけて登って行く、春とはいえ新品同然のブレザーを新入生らしくキッチっと着こなしていれば嫌でも汗ばんでくる。
そんな辛い思いをしている僕を嘲笑うような排気音が後方から近付いてくるのに気が付いた。その音の正体はおそらくさっきの駅から出ている路線バスだ、中には僕と同じ制服をキッチと着こなした学生が十数人程度乗っている。
あの駅バス出てるんだ、今度からそっちで登校しよう。
そう心に決め地獄の坂道をのぼって行き、ついに学校に到着した。少し息を整え校門から校内に入り下駄箱で下履きを脱ぎ靴袋から新品の上靴を取り出し事前にメールで知らされていた自分のクラスへと向かった。
自分のクラスは1年4組、A,B番棟と2棟ある内のA番棟4階に位置している。
初日と言う事もあってなのかクラス内は静寂に包まれており独特の緊張感が肌に伝わってくる。
緊張感からか少し足早に黒板に貼ってある座席表を確認し、自分の席に着く。大した荷物も入ってないバックを机の横に掛け、周りと同じように黙って初めてのHRを待つ。
10分程待つとスーツをキッチリと着たいかにも仕事の出来そうな20代後半に見える女性の先生がやってきた。
「皆さんこんにちは、入学おめでとう、私がこれから1年間君たちの担任をする。
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入学式も終わり無事に家まで帰ってきた。新入生来週の新入生歓迎会の部活動紹介が終わるまで部活動には所属できないとの事で、今日は足早に家に帰ってきた。
部屋に入るや否やすぐにベットに寝転んだ。
「弓道部早く入りたいな」
とこれからの高校生生活の希望に胸を膨らませ、そのまま眠るのだった。
弓道部に捧げた青春物語 @yuugumo
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