お楽しみッだぁぁ~!!
「まずは皮を剥ぐッ!」
「「はいっ!」」
王城の調理場に姫、見習い料理人、新人騎士の3人の声が響く。
この日姫は、先日仕留めたケツァルサーペントを調理していた。
「出来ましたっ!」
「こっちもです!」
「よしっ。じゃあ、内臓を取り除いて、水でしっかり洗おう」
綺麗に洗ったら水を拭き、一口大に切ってからよく焼いて、味見をする。
「ん~~…」
「…淡白、ですね」
「なんかグニグニしてんですが…」
「肉汁かな?これ。水っぽくて旨味も何もない……。あとちょっと固いね」
3人で少し頭を悩ませていると、執事が小走りで調理場に来た。
「姫様!ここにいたんですか!」
「おお、ロゼルト!良いところに!」
「げっ…サーペント食べてるんでングッ」
「味見してみてくれ!」
(( ギャァーーーーーー!! ))
見習い料理人と新人騎士は絶叫した。
執事が元暗殺者であることは、王城内では周知の事実となっている。
" 元 " とはいえ、暗殺者であったことは事実。新人の者が警戒し、恐れるのは当然である。
「………あんまり美味しくはないですね」
「だよなぁ~。どうすれば良いと思う?」
「屋台で見かけたんでしょう?その店から漂っていた匂いから大体分かるんじゃ…?」
「!よし、濃い味つけにしよう!」
(( あれ…。意外と、怖くない…? ))
こうしたギャップで無自覚・無意識に、着々とファンが増える執事であった。
姫はまず、タレを作り始めた。
砂糖とニンニク、異国の行商人たちから買い取った調味料の醤油、唐辛子、料理酒。
ニンニクはすりおろし、唐辛子は細かく刻む。ベースとなる醤油に砂糖、ニンニク、唐辛子、料理酒を混ぜ、アルコールが飛ぶまで温める。
肉を焼き、タレを塗ったら強火で焦げ目がつくように焼いたら、串焼き ( 串に刺さっていない ) の完成。
「どう?」
「んっ!うまっ!」
「あ、美味しいです」
「肉というよりはタレの味ですね」
「……ロゼルト。君は文句を言ってんの?」
「ちゃんと美味しいですよ」
執事が姫をおちょくるのはいつものことなため、姫は次の料理を作り始めた。
先程のタレに肉を浸けおく。その間に小麦粉と、これまた異国の行商人から買い取った片栗粉を混ぜあわせておく。
タレに浸けた肉は、しばらく置いておく。
もう一品。
肉に塩・コショウ、異国の調味料・七味を馴染ませる。ローズマリーをのせて表面に焼き目がつくよう、フライパンで蒸し焼きにする。
焼き目がついたら角切りにして鍋に入れ、ローズマリーと一緒に煮る。10分ほどして、玉ねぎ、人参、じゃがいも、ブロッコリーをいれて5分煮る。
「じゃっじゃじゃーん♪」
「?それはなんですか?」
「自家製トマトペースト♡皮ごとすり潰してー、裏漉ししてー、煮詰めてー、煮沸消毒した瓶に詰めたやーつ」
「中身もですけど、瓶も綺麗ですね」
「これはねー。ロゼルトチョーイス♡」
「「え゛」」
鍋にトマトペーストを入れて、また少し煮る。味見して、薄ければ塩・コショウで調えて、トマトスープの完成。
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