とらえどころがなく、それでいて(あるいはだからこそ)惹き込まれる
- ★★★ Excellent!!!
物語は何かしらのストーリーラインをとらえようとしたところで常に歪んでいきます。
常にどこかからか不協和音が響いてくるようで、読者である私は何かしら覚悟を決めようと先を予想するのですが、それがことごとくずらされていきます。
このずらし方は、何かを予想させて、どんでん返し的にひっくり返すというものではなく、常にどこかずらしてくる、本当にとらえようのないものです。
どこか終わらない悪夢を見ているよう、いや、この表現もこの作品をとらえきれません。
なんともとらえきれないのに、終始惹き込まれ続ける本当に楽しい体験ができる作品でした。