謎を残しながらも、読み終わって雨上がりのような清々しさを貰える名作。

 雨の訪れとともにやって来る『ソラシド』と呼ばれた男と、40手前にして仕事漬けの人生を送る主人公・中高一貫校の教師の物語。
 現実の世界でもそうだけど「働き方改革」とか「ブラック企業撲滅」「助け合い」といった聞こえの良いお題目の裏側で、誰かが必ず被らなければならないその分の泥をノーを言えずに被らされている人間が必ず存在する(私の近くでも、そんな状況で働いている友人がいる)
 そんな状況の主人公がソラシドとの関係の中でどう変わっていくのか、最後はどんな風になるのか……短編という短い中にも濃密なドラマが詰まっていて、現実にもこんなドラマが起こってくれたらいいな、とか読んで良かったと思える作品でした。