ロレニア国の王女、十五歳のベアトリーチェ。
彼女は父王の失策による敗戦の尻ぬぐいで、三十歳以上も年上のオッタヴィアーノに嫁ぐことになります。
結婚相手のオッタヴィアーノには前妻との間に、新婦のベアトリーチェより二歳年上の娘や、ベアトリーチェと同い年の息子がいる始末。
ベアトリーチェの結婚はひどいものでした。
と、ここまで見ると、悲惨な結婚による陰々滅滅なお話かな、と思ってしまいますが、読んでみると、いじわるをされたりはしますが、全体的にあまり暗さを感じないんです。
状況は確かによくないのですが、主人公のベアトリーチェが気取らず、活発な性格であるのが救いになっているようです。
やがて活発なベアトリーチェは、馬上槍試合にも出るようになります。
そして出会ったのがレオナルドでした。
不穏な国家間の情勢のなか、ふたりはどうなっていくのでしょうか。
人々の欲望、思惑、政治の動きが絡み合い、とても興味深く面白い作品です。
許されざる恋、けれど、離れがたい気持ちで結ばれたふたりの行く末をぜひ、見届けにきてください。
エミリア侯国に続く300年の呪いが、まるで歴史そのものの影のように作品全体を包み込んでいます。『レオナルドとベアトリーチェ』は、愛と宿命が複雑に絡み合う壮大な舞台劇。政略に囚われた者たちがそれでも希望を見出し、愛することを選ぶ姿に胸が締め付けられます。
レオナルドの葛藤は、古い体制と未来への願いとの狭間で揺れる人間の苦悩そのもの。ベアトリーチェは孤独な戦士として、尊厳を守りながらも共鳴する魂を求めています。舞踏会での運命的な出会いに始まり、陰謀と愛憎が織りなす物語は、美しくも残酷な一族の伝承を照らします。
一族の呪いが象徴する「過去」から、二人は逃れられるのか。歴史の奔流に抗いながら、自らの信念と愛を手にしようとする姿は、時を超えた共感を呼び起こすことでしょう。
レオナルドがタイトルの初めに来ていてキャッチコピーもレオナルド中心になっていますが、私が誤解していなければ、主人公はベアトリーチェです。彼女は強くあろうと頑張って人々のために奮闘するのですが、賢くて強い一辺倒ではなく、愛のために理性を失う人間的な面もあり、共感しました。でもベアトリーチェだけでなく、男性キャラも魅力的でした。
実は、1人の男性が3人の女性を侍らすハーレム展開かと思って、最初ちょっと読み始めるのを躊躇していました。でももうすぐ完結すると知って読み始めたら、それは誤解と分かり、一気に読むほど没頭しました。この物語には、ハーレムとかそういう流行要素はなく、シリアスな本格的ヒストリカルロマンスで、設定もすごく詳細でしっかりしています。残念ながらそういう作品がWeb小説には少ないので、私はこの作品に出会えてよかったです。