第二章 登場人物紹介


「お返しに援護、させてもらうぜ? この世界で最高峰の炎でもってね!」

【アルラズ・スノウ】


 第二章の語り手のひとり。

 正義執行機関「瞳」、序列第三位。「試練」の役割を持つ。「記憶」の役割を持つアルヴィンの双子の兄。


 彼にとっての『正義』とは「家族愛」である。


 炎神からの主命とツジカゼからの依頼を遂行する為、風吹く里に赴き、アルヴィンの書き上げた「脚本」に基づいて行動する。


 魔物であるツジカゼのことを警戒していたが、彼女と共に過ごすうちに彼女の中に「人への愛」が確かに在ることを認め、彼女を信じることに。いつか悠久の時を経て彼女が愛を失い、人を襲うようになったときには「英雄のまま綺麗に消してあげる」と約束を交わした。


 機関での第三位という地位はアルラズとアルヴィンがふたり揃ってのものだが、アルラズ単体でも戦闘能力は極めて高く、空間操作系魔法と糸を用いて敵を翻弄する。


 アルラズの作者イラストはこちら→

https://kakuyomu.jp/users/shiba_sui/news/16818093090823834405


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「兄さん独りでも、俺独りでも出来ないことが、ふたりなら出来るから」

【アルヴィン・スノウ】


 正義執行機関「瞳」、序列第三位。「記憶」の役割を持ち、眷属の中で唯一、シェールグレイで起こった全てを覚えている存在。勿論、家族と交わした言葉も全て。「試練」の役割を持つアルラズの双子の弟。


 生ける「神域の機密事項」であるゆえ、滅多に外界に出ないが、予言者=ゼロへの正義執行の為に満月の夜、アルラズの召喚に応じる。ゼロの精神を掌握し、「時間を浪費するだけ」と冷たく言い放ちながらも彼と言葉を交わした。


 ゼロの消滅は無事遂行したようだが、その後、眠り続けることに……?


 アルヴィンの作者イラストはこちら→

https://kakuyomu.jp/users/shiba_sui/news/16818093090470378105


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「『正義』がつつがなく執行されること、そして我が愛しの弟たちの、無事の帰還を信じている」

【ゼイリェット・フレア】


 第二章の語り手のひとり。

 正義執行機関「瞳」、序列第四位。「美徳」の役割を持つ。


 紫色の虹彩を持つ、やや垂れ気味の眼。毛先のみ橙に色付いた深紅の短髪を日々、人間用の整髪料でセットしている。うなじから腰の辺りまで尾のように垂れた毛髪が、自分の華麗な動きに合わせて優雅に流れるのがお気に入り。


 愛と情熱に生きる眷属。心優しく朗らかで前向き。自分自身のことを愛していると同時に、他者のことも同様の熱量で愛しており、他者の「美徳」を見つける名手である。大変社交的で、プライベートでも外界に出て炎神の民と交流することを好み、様々な美しいものを探し出しては愛でたり、自らの生活に取り入れたりしている。


 そんな彼が機関で務める役割はピンチヒッター、代役。他者を思い遣り、上辺だけでない心の深い部分での交流を求める彼だからこそ、他者の「美徳」を理解し「模倣」することができる。風吹く里の一件でも、アルヴィンの代役となることを願い出た。


 武器はレイピアと弓。魔法を使わずとも近距離攻撃と遠距離攻撃のどちらもこなせるようにと選択。その腕は勿論「一流」。


 ……そんな彼の唯一の天敵はアルラズ。理由はアルラズ側から猛烈に嫌われており、常に愛でるより早く噛みつかれるから。アルラズは、大事な大事な片割れアルヴィンに対するゼイリェットの馴れ馴れしい態度が気に食わないらしい。


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「私が、翠竜ツジカゼだ」

【フウ=翠竜ツジカゼ】


 第二章の語り手のひとり。

 女性の自我を持つ「魔物の王」翠竜。


 人や人と共生する生物を襲うという本能を持つ魔物でありながら、人そのものを愛し、風吹く里を密かに護り続けてきた。炎神による強力な結界魔法「聖なる紅炎」を通り抜けて聖都に入ることができたのは、その異質な在り方を炎神が見抜いた為である。


 爬虫類の如く縦に細い瞳孔が特徴的な蜂蜜色の瞳と、深緑色の長髪を持つ美少女……人の姿になることができる。この姿はかつて彼女に生贄として捧げられた(が、未遂に終わった)少女を模したもの。


 この変身は魔法によるものではなく「願い」によるもので、彼女自身も「強く願えば姿を変えられる」ということ以外は分かっていない。


 予言者=ゼロの情報を大聖殿に齎した果報として、アルラズとアルヴィンの助力を受けて「長年の誤解」をとき、日向ひなたの英雄となった。人体をとるようになってまだ半年なので無口で無表情だが、時間が彼女を人間に近づけていくかも知れない。


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「予言は、あの、予言は…………っ、僕達を侮辱するだけの、偽物だ!」

【里長】


 風吹く里の長。本名はガアテ、妻の名はイナ。訳あって二十代後半という若さで里長の座を継いだ。閉鎖的な集落の権力者という立場ながら、謙虚であり慎重であり、典型的な善人である。


 しかし代表者としての意識は強く、いざとなれば勇敢な側面が姿をあらわす。里の民とツジカゼを信じる心をアルラズに後押しされ、虚属性魔法で植えつけられた予言を自ら否定してみせた。


 酒を飲むと打って変わって強引になり、普段はのらりくらりと何でもかわせるタイプのアルラズに(一杯だけではあるが)苦手な飲酒をさせられるほど。


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「ワタシはかつて、一度殺され……呪いという名の黒灰の中よりよみがえったのです」

【予言者=ゼロ】


 第二章の語り手のひとり。


 魔導大国リ・リャンテに女王として君臨する虚神の身体より生み落とされたが、虚属性だけでなく風属性の魔力も持つ「複数持ち」であった為に眷属として認められなかった名前の無い何か。アルヴィンはアルラズとの会話の中で「高位魔導生命体・零」「ゼロ」と呼称。


 燕尾服を纏い、小振りな撥弦楽器(ギター)を携えている。腰まで至る長さの硬質な銀髪と、翡翠色の瞳を持つ。


 肌の色は右半分が純白、左半分は純黒。左の横頭からは漆黒の角が突き出しており、臀部でんぶからは漆黒の鱗に覆われた爬虫類のような尻尾が生えている。


 他にも唇が頬のなかば程まで深く裂けていたり、手指も常人より細く長いなど、異形の持ち主であり、風吹く里に予言を齎す時には瞳と髪以外の特徴を隠し、人間を模した姿で現れた。


 予言を齎し、自らそれを実現させるという方法でフェオリア西部のエニレー村を壊滅させた重罪犯。「瞳」はフェオリア政府から彼についての警告と捜査協力依頼を受けており、翠竜ツジカゼが聖都の礼拝堂を訪れたことで、その行方と次の標的が発覚した。


 目的は『正義』を司る炎神の眷属を誘き出し、虚属性魔法によって洗脳して手駒とすること。優れた潜伏能力を持ち、計画実行のときまで巧妙に身を隠していたが、アルラズとアルヴィンによって居場所を突き止められ、破壊された。


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「さあて、定刻ていこく定刻。

 我等がき隣人達を出迎えるとするか」

【シュトジーノ・ハル・ラトス】


 フェオリアに座す水神の、男体の眷属。魔導具開発の天才集団・「永久機関『歯車ハグルマ』」に所属。機関での序列は最上位であり、称号は「人形技師」。


 紺色の短髪、一重瞼の黒眼。常にゴーグルを首にかけ、工具箱を肩に背負い持ち歩いている。ポケットだらけの橙色の上着には、仕事に必要なものだけでなく、我が強すぎる弟妹達のご機嫌を取る為のあれこれが入っているとか。


 二面性を持ち、オンオフを見えない「兄ちゃんスイッチ」なるもので切り替えているらしい。


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《 名前だけ登場 》


【トエニカ・ブルー】

 炎神の、女体の眷属。正義執行機関「瞳」、序列第一位。『将軍』の役割を持つ。

 炎の国で最初に生まれた眷属であり、大聖殿の頂に立つ存在。比類なき強さで国を護る。


【ヤエコ・サクラバ】

 炎神の、女体の眷属。黒兎の耳と尻尾を持つ獣人のような容姿をしている。正義執行機関「瞳」、序列第五位。『維持』の役割を持つ。

 優れた治癒魔導士であり、医師であり、薬剤師でもある。


【ノアグレーテ・ファントム】

 炎神の、女体の眷属。正義執行機関「瞳」、序列第七位。『探究』の役割を持つ。

 魔導具の優れた発明家であり、アルヴィンの能力制御具や、アルラズがツジカゼに渡した通信機を造ったのは彼女である。

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【特盛版】ある眷属の正義 紫波すい @shiba_sui

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