恋する悪役令嬢 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部【短歌の部 / 二十首連作】

安座ぺん

恋する悪役令嬢

薔薇背負う家紋を食べたジャムにして 悪役令嬢せいせいしたわ


馬鹿にする驕り高ぶる美しく 鏡に聞かずも特別な私


大人らに禁止されるとしたくなる ひとりの散歩これが自由だ


野を駆ける獣を撃つはただのひと 森のことわり抱く殿方


びしゃ濡れたドレスの裾を気にしてる湖畔で交わす視線の応酬


寄せられたおたより読むよ彼の祖国 収穫祭のはがきはみどり


こだわりのボルト式銃よく似合う腹立つ背中に恋をしている


初咲きを手折るはこの手迷いなく 花びら散りぬ 心が欲しい


信じても 叶えてくれない神様を 貶すが早い人の営み


まじないで 人体色じんたいしょくした 草花を 口に含みて名前を呼んだ


狩人の落ち込む銃口 弱り目の鹿も去る去る虚ろな瞳


傀儡くぐつとてかわいい彼は銃捨てた 頭を撫でる獲物はあなた


後ろ指 指されたことには気づいてた だからなんだに沸く落とし穴


身にかかるのろいは返る双方向 異変に気づく最悪の朝


銃口がこちらに向くと知らなくて後ずさりした怖い断崖


神に願い届いた皆笑ってる 醜い心に見合う見た目を


人殺めうるさい湖畔 水面すいめんに映るいびつな私だったもの


似合う花 殺した彼が譫言うわごとす 今更遅いへどろの心


収穫祭あなたと歩くそんな夢 遠くお空に私は地底


薔薇が咲きその後枯れる街の角 悪をいましむおとぎ話と

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