第3話

暗闇の中の光って、普通に見る光の何倍も輝いて見えるものだ。

絶望の中に見える希望はとっても魅力的だ。

私は、それに縋ってしまった。

君に、負担をかけてしまった。

君の笑顔は、私の見た中で一番、「自然にうかべるもの」に見えた。

その笑顔に惹かれて、君と私は仲良くなった。


入学式から、数日がたった時のことだ。


小夜さよちゃん! 『さっちゃん』って読んでいい?」


君は、恐る恐る聞いた。

今浮かべているのは、笑顔じゃなくて恐れや恐怖、そして、ちょっと垣間見える期待と言ったところだろうか。

なんで、こんな表情を浮かべているのだろう。

私が怖いから?許可が貰えないと思ったから?

――もしかして、笑顔を作っていなかったから…?

そのことに気づいた瞬間、私は笑顔を作る。

そして、言った。


「もちろん!」


そういうと、君は安心したような、怯えがとれたような顔でふわっと微笑んだ。

――胸が、ズキッて痛むのは何でだったんだろう。

痛い、なぁ。

そんな時、君が言った。


「もし、良かったらなんだけど。ひまりのこと、『ひーちゃん』ってよんでくれないかな?」


今度は、期待に満ちた瞳。

さっき許可して貰えたから、多分大丈夫だろうなって思ってるのだろう。

嫌じゃ、ないし。

別にほかの呼び名がある訳でもないしね。


「わかった! ひーちゃん。」


そういうと、君、いやひーちゃんは暖かい笑みを浮かべた。

こんな笑みを私も浮かべられるようになりたいなぁ。

でも、まだ私には、出来ない。

だから、最上級の笑顔を


「どしたの、さっちゃん?」

「いや、何にも?」


これからの小学校生活が、明るいものになりますように。

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いつか、君と共に光を見よう。 うた🪄︎︎◝✩ @umiuta

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