第2話

私は、笑顔をのが苦手だ。

というか、「笑顔」ってなんなのか、よくわかんない。

でも、笑ってなくちゃ怒られる。

笑ってなくちゃ仲間外れにされる。

そんなことは、小さい私にだって分かりきってた。

だから、頑張って笑顔でいるようにした。

だから、だろう。

私は、「笑顔」が苦手になってしまった。

だって、私にとって、それはもので。

みんなは自然にものだけど。

それは、私にとって普通じゃない。

自然に笑顔になんて、なれない。

みんな、どうやってやってるのかなぁ。

ずっと、考えてた。

みんなの笑顔を、ずっと見つめて。

どうやったら私も、こんな風になれるかな、って。


――初めて見た、君の笑顔は。

とっても、美しくて。

可愛くて。

輝いてて。

ただの小一な筈なのに。

私と同じ、子供な筈なのに。

私の目にはとってもキラキラして見えた。

君は、私にとっての「光」。

そして、「希望」。

そう信じてやまなかった。

だって、君の笑顔はそれ程の力を持っていたから。

今まで沢山見てきたはずの、大人の優しい笑顔よりも。

テレビで輝いていた無数のアイドルよりも。

暗い夜空に輝く、一番星よりも。

君は、輝いていたんだ。

まるで、始めて見つけた、暗闇の中の光のように。

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