【完結】ミステリーをもう一度
湊 マチ
第1話 再び浮上する過去の事件
探偵三田村香織は、忙しい日々の中で久しぶりに古い友人、内山健一の名前を耳にする。内山は、彼の温泉宿で発生した殺人事件の容疑で逮捕されていたが、彼の弁護士である坂本勇一から依頼が舞い込む。坂本は、内山の無実を証明するために新たな証拠を発見し、それを基に事件を再調査するよう香織に頼む。
坂本弁護士は奇抜なファッションと鋭い洞察力を持つ個性的な人物で、香織に事件の詳細を伝える。香織は坂本の説得に応じ、かつての相棒である藤田涼介に連絡を取る。涼介は冷静で論理的な考え方を持ち、香織とは抜群のコンビネーションを誇る。
香織と涼介は内山が経営する温泉宿を訪れ、事件現場を調査し始める。内山の逮捕理由となった証拠を再度確認するが、新たに発見された証拠品が当時の容疑者とは異なる人物を示唆していることに気づく。
香織は涼介と共に、湯布院の温泉街に向かう道中で霧が立ち込める朝の風景に心を奪われる。霧は淡い白と銀色が混じり合い、まるで絵画のような幻想的な光景を作り出していた。温泉街の古い木造建築の屋根からは、柔らかな蒸気が立ち上り、空気に心地よい湿気と温もりを運んでくる。
内山の温泉宿「静香亭」は、入り口の赤いのれんが印象的で、古風な佇まいが美しい。香織は玄関をくぐり抜けると、木の香りが鼻をくすぐり、足元の畳の感触が心地よい。坂本弁護士は、紫色のネクタイと鮮やかな緑のスーツを身にまとい、独特の存在感を放ちながら待っていた。
「おお、お待ちかねでしたよ、三田村探偵殿、そして藤田さん!」坂本はその鋭い目で二人を見つめ、誇張されたジェスチャーで挨拶をする。「いやはや、ついにお会いできて光栄です。さて、今回の件、非常に興味深いものとなりそうです。」
香織と涼介が坂本の熱心な説明に耳を傾ける中、彼は情熱的に話し続けた。「こちらにあるのが、その新たな証拠、見てください。古びた手帳で、事件の核心に迫る重要な手がかりが記されています。」
坂本が差し出したのは、古びた手帳だった。その手帳の中には、当時の事件に関する新たな手掛かりが記されていた。香織はその手帳を手に取り、ページをめくりながら、事件の詳細に目を通す。手帳のページは黄ばんでおり、インクの青が薄れていたが、確かな筆跡で書かれていた。
涼介は冷静な眼差しで手帳を覗き込み、香織と共に内容を確認する。「この手帳の記述が正しければ、内山さんは無実です。しかし、それを証明するためには、手帳に書かれている人物を特定しなければなりません。」
香織は手帳の最後のページに目を留めた。そこには、「美咲」という名前が書かれていた。香織の胸には不安と興奮が入り混じる。「高橋美咲…内山さんの元恋人。彼女が事件にどう関わっているのかを調べる必要があります。」
「その通りです、探偵殿!」坂本は大きく頷き、満足げに微笑んだ。「この高橋美咲という名前、非常に興味深いですな。彼女が事件の鍵を握っているに違いない!」
香織と涼介は、その新たな証拠が指し示す人物が誰かを突き止める必要があることを理解するが、その人物が内山の元恋人である妖艶な美女、高橋美咲であることが判明する。二人は次の行動に移るが、美咲の存在が事件にどのように関わっているのかが謎のまま残る。
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